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【追憶のマーメイドS】08年トーホウシャイン 雨上がりの阪神で最低人気馬快走!減量が実を結んだ

スポニチ
  • 2024年06月12日(水) 06時45分
 5月12日のヴィクトリアマイル。15頭立ての14番人気テンハッピーローズが勝ち、久しぶりに血が躍った穴党は多いだろう。

 この時、「ブービー人気V」「ビリ人気V」が非常にクローズアップされた。伝説の89年エリザベス女王杯。勝ったサンドピアリスは20頭立て20番人気だった。00年スプリンターズS。勝ったダイタクヤマトは16頭立ての16番人気だった。もう1つ。14年フェブラリーSを制したコパノリッキーも16頭立て16番人気だった。

 トーホウシャインも12頭立てと、やや少なめながら断然の最下位、12番人気だった。それも当然。1000万下(現2勝クラス)で3着以内すらない2勝馬。最軽量タイの48キロを生かし、2、3番手につけようとしたが、馬群についていけず、後方3番手のインをおとなしく進んだ。

 このイン追走がチャンスを連れてくる。前を行くブリトマルティスが外のベッラレイアに体を寄せ、内ラチ沿いがパカッと空いたのだ。鞍上・高野(こうの)容輔は「空いた!と思って夢中で追いました」と語った。

 高野は当時24歳。だが、この年はここまで0勝。前年は障害で1勝のみ。その前の06年は未勝利だった。若くして追い込まれていた。

 火曜に高野は「48キロも乗れます」と崎山調教師に伝えた。4年ぶりに48キロで乗るために必死の減量作戦を敢行した。馬場を走るなどの奮闘が実を結び、体重を3.6キロ落としてゲートインにこぎつけた。

 豪雨が上がったばかりの重馬場。トーホウシャインは空いたインをスルスルと上昇した。前にいるのは逃げていたピースオブラヴだけ。「これ重賞だよな」。首をひねりながら高野が懸命に追うと、トーホウシャインはあっさりと先頭でゴールしていた。

 崎山博樹師は苦笑いしながら殊勲の人馬を迎えた。「本当に驚いたね。確かに重馬場はうまいが、まさかねえ。競馬はやってみないと分からないよ」。雨上がりの阪神に笑顔の花が咲いた。

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