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“実りの秋”へ芝とダートのメンテナンス進む中山

スポニチ
  • 2024年06月13日(木) 10時21分
 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は美浦取材班の後藤光志(28)が担当する。今年もあっという間に春の6週連続G1が終了。夏競馬ムードも高まってきたが、4月に皐月賞が行われた中山競馬場は既に秋開催に向けた準備が進行中。気になるその現場を取材すべく、同競馬場の馬場造園課・野津智課長(49)を直撃した。

 緑の芝が鮮やかに映えていた今春の中山競馬場。牡馬クラシック第1戦の皐月賞が行われた4月14日に春開催を終えた。次開催のスタートは9月7日。それまでの約5カ月間に「芝の張り替え」と「クッション砂の洗浄」が行われる。取材当日、野津課長の厚意で芝コースとダートコースを歩かせてもらった。

 まずは直線のゴール板付近から芝コースに入場。春開催終了直後から傷みの激しい内ラチ沿いを中心に、約2万2000平方メートル分の芝を張り替えた。野津課長は「例年は2万平方メートルくらいですが、今年は少し傷みが多かったので。内回りと外回りの合流地点で、特に傷みが激しい3角から作業を始めて無事に終わりました。この後は散水しながら芝が根付くように管理していきます」と説明する。

 1平方メートルほどの大きさで長方形のマット状の芝を、最大約100人の作業員が一つずつ手作業で張り替えた。4角から直線にかけては張り替えて日が浅い分、長方形の芝の輪郭がくっきり浮き出ている。しかし、作業から1カ月ほどが経過した3角は芝が青々と生い茂りほぼ“一体化”していた。「今年は天気も良かったので順調に来ましたね」と野津課長の表情も明るい。

 続いてダートコースへ。向正面から入ると早速驚いた。開催中に敷き詰められていたクッション砂が全くなく、山砂が締め固められた路盤がむき出しになっている。取り除かれた砂は馬場の内側に集められ、洗浄された後に戻されるという。「ダートは安全のために、いかに乾いた良馬場にするかが大事。馬が走った衝撃やハロー掛けの影響で砂の粒が壊れて粉っぽくなり、そうした砂ぼこりや汚れなどが排水不良の原因になります。それを防ぐために洗浄していますね」と話した。

 安全・公正な競馬開催の実現へ、この期間は欠かせない大切な時間。それだけにプレッシャーも大きい。「(秋開催)初日は緊張しますね。芝とダートの最初のレースは、競走後すぐに確かめに行きたいくらいです」と野津課長。夏競馬が始まったばかりだが、実りの秋に向けての入念な準備が着々と進められる。

 ◇後藤 光志(ごとう・こうし)1995年(平7)12月8日生まれ、愛知県出身の28歳。中大卒。20年スポニチ入社。整理部、福島支局を経て今年4月から中央競馬担当。

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