本年度のホッカイドウ競馬公式キャッチコピーは、“門別最強説”である。筆者の知る限り、これはネット発の言葉だ。主に門別以外の競馬場で、門別出身馬、あるいは門別からの遠征馬が結果を出したとき、それを称える意味でいつの頃からか使われるようになった。
言わずもがな、この「説」に最も説得力を与えているのが2歳馬の活躍だ。世代最初の重賞である
栄冠賞は、いずれ「最強」を証明していくだろうスターの原石たちがぶつかり合う、競馬ファン必見のレースである。
デビュー戦→ウィナーズチャレンジ1と連勝してきた
ベラジオゼロの実績を、まずは高く評価すべきだ。この臨戦過程は、昨年の覇者である
ストリームと同じ、いわば王道のローテーションである。デビュー戦勝利後、いつも控えめな
岩橋勇二騎手から「シンプルに能力が高いです」という言葉が出たくらいで、スピードの絶対値は優に全国レベルだ。
ただ、ウィナーズチャレンジ1で
ベラジオゼロに0秒1差まで迫った
ウィルオレオールの逆転も、十分に考えられる。当時は少頭数の前哨戦とあってペースが落ち着きすぎてしまったが、
栄冠賞は段違いなハイペースになるのが通例。各馬が
アクセル全開の競馬をする本番でこそ、この馬の大人びたレースセンスがフルに生きるという考えで、筆者はこちらを◎とした。
レースセンスという意味では、
スティールブライトの前走も秀逸だ。競り合う先行馬2️頭が作り出した前半23秒3という急流を、その2馬身後ろで悠然と構えて抜け出した走りには、一流ス
プリンターの片鱗が見える。2年前、1番人気ながら6着に伸びあぐねた半姉
スティールグレイスの雪辱を、この馬が果たすかもしれない。
世代唯一の
ステッペンウルフ産駒として、ロマンを乗せて走る
ゼロアワー、数多くの活躍馬を輩出するスーパーフレッシュチャレンジの勝ち馬ゲクウ、デビュー戦から一変を見せた前走が好内容の
ボディコンシャスなど、注目馬を上げればキリがないが、ほとんどがスピードに物を言わせて勝った馬たちだ。激流の先行争いを各馬がどう乗り越えるかが見どころである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)