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障害騎手から転身、藤野健太厩舎で腕振るう北沢伸也助手 引退から3カ月 即答した今後の目標は

デイリースポーツ
  • 2024年06月18日(火) 06時00分
 アスリートは引き際が難しい。騎手を引退して3カ月-。3月に開業した栗東・藤野健太厩舎で腕を振るう北沢伸也助手(53)に、引退決意のきっかけ、助手転身後の今について取材した。

 昨年9月の調教で落馬。外傷性くも膜下出血、左目の滑車神経まひと診断された。「目がおかしくて全部二重に見える。終わった…と思った。運転もできない。治るかどうか半々だった」。1カ月半で完治したが、引退を考える出来事だった。

 騎手にとってけがはつきもの。これまで骨折は鼻、首、手首、腰椎、くるぶし、そして肋骨は5、6本。鎖骨の手術は7回を数えた。「骨折は15、16カ所。骨折は治るから大けがじゃないと思っていたけど、神経、脳っていうのはこたえた。落馬の3日前に熊沢さんからご飯を食べようって連絡をもらって。“やめるわ”って聞いて。それもあって、もういいかなと思えた」と振り返る。

 騎手課程6期生として90年にデビューし、障害初騎乗は98年。11年2月に平地免許を返上し、障害に専念した。「届きそうな目標はみんなやったという思いがあった。JRA賞を2回(12、14年)、障害150勝、中山大障害(14年レッドキングダム)も勝てたし。ずっと続けられるわけがないから。辞める時は大けがをする時だろうなって思っていた。これぐらいでおしまいでいいのかな、と。辞めると決めた時は悔いなし。やり切ったからね」。騎手を全うし、満足そうにする。

 現在は藤野厩舎で調教助手を務める。障害騎手は癖のある馬を扱うのが上手と聞く。なぜなのか-。「難しい馬を“障害馬にして”って言われて、やってきたから。1頭とコミニュケーションを取る時間が長く、練習も長いあぶみで乗る。なだめるとか、口向きをつくるとか。短いあぶみではできないことも、長いあぶみでいろいろとできるのが障害騎手の強み。難しい馬は必ずいる。そういう馬は任せてくれ、乗りますよって。厩舎から乗り切れないっていう馬が出ないようにしたい」。騎手時代に身につけた武器を誇らしげにする。

 新たな発見も多い。「僕らは乗らないと分からないことを知っているけど、脚を触らないと分からないことがたくさんある。こういう時はどうなの?って厩務員さんに聞いて。新鮮な気持ち。またスキルが上がった、できることが増えたぞって、すごく楽しい」。笑顔から充実感が伝わる。

 目標を聞くと、こう即答した。「騎手時代に平地で重賞を勝てなかったから、自厩舎の馬で平地重賞を勝ちたい」。障害でいえば、藤野厩舎からヴァレッタカズマがJ・G3の東京ジャンプS(22日・東京)に挑戦する。「馬の成長とレースぶりが良くなった時に転厩してくれて。若いから伸びしろがある。メンバーは強くなるけど頑張ってほしいな」と元障害騎手らしい目線で期待した。

 「後輩騎手は、やり切ったと思って辞められるように頑張ってほしい」。北沢伸也の第2章は始まったばかり。新天地でも注目したい。(デイリースポーツ・井上達也)

提供:デイリースポーツ

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