「
さきたま杯・Jpn1」(19日、浦和)
記念すべきJpn1昇格の大一番は、やはり役者が違っていた。単勝1・2倍とダントツの支持を得た
レモンポップが2番手から3角先頭の横綱相撲を展開。直線も懸命に末脚を伸ばし、サウジからの帰国初戦を自身4つ目の
ビッグタイトルで飾った。2着には3番人気の兵庫
イグナイター。3着には2番人気の
シャマルが入った。
昨年の
JRA賞最優秀ダートホースにとって、サウジからの帰国初戦も初めての小回りコースも単なる杞憂(きゆう)。前日の豪雨(6R以降打ち切り)がウソのように、鮮やかに広がった“浦和ブルー”の空の下、一枚も二枚も上のスピードを発揮した
レモンポップが、記念すべき大舞台でも主役を務め上げ、上半期のダート短距離王を戴冠した。
スタートで内へ寄れるシーンはあったが、すぐに立て直して2番手へ。逃げた
アランバローズとはスピードが違うとばかりに、向正面の中ほどで先頭へ。最後の直線は雨上がりの馬場で走りにくそうだったが、鞍上の左右の激励に応えて、力強く
フィニッシュラインを駆け抜けた。
午前11時の開門前から長蛇の列で熱気に包まれた
メモリアルデー。コンビを組んで国内では負け知らず。4つ目のビッグへ導いた坂井は「五分にスタートを出てくれれば力は上だと思っていました。道中もポジションにはこだわらず、この馬のリズムで。記念すべき“ジーワン”を勝つことができて良かった」と、1万を超えるファンからの祝福に応えた。
埼玉県新座市生まれの田中博師にとっては“地元”でのビッグVとなり、ホッとした様子でヒーローを迎えた。「タフな競馬だったので、最後は一杯一杯。ドキドキでした」と緊張気味。前走のサウジCは12着大敗。しかもここ2走は、立ち上げの段階で気持ちの高ぶりを現すようになったそうで、非常に難しい調整だった。「注意を払い、牧場からここまでいい調整で来られました。きょうは(馬は)平常心でした」とようやく笑みを浮かべた。
次走に明言はなかったが「このぐらいの距離がベストだと思うけど、中距離も勝ってくれましたからね。選択肢が広がったことは確か。海外も含めて」。またひとつ価値ある勲章を積み上げ、その将来は限りなく明るい。
提供:デイリースポーツ