機は熟した。開業5年目の吉岡師が
ブローザホーンでG1初制覇を狙う。昨年は
JRA38勝でキャリアハイを更新。今年は重賞2勝を含め、ここまで18勝を挙げている。吉岡師は「単年で見れば成績が悪かった年もあるんですけど年々、厩舎に入ってくる馬のレベルが上がってきたことで、勝ち星も増えて
ステップアップできていると思います。数字や勝っているレースを見て、
ブローザホーンなども入れていただいたと思います」と胸を張った。
ブローザホーンは今春、中野栄治師が定年引退を迎え、吉岡厩舎へ。
日経新春杯で重賞初制覇を飾った後のタイミングで引き継ぎ、プレッシャーもあっただろうが、その後も
阪神大賞典3着、
天皇賞・春2着と好走。
ビッグタイトルを意識できるまでに力をつけた。「道中うまく折り合えばG1でも通用すると思いました。今回は条件的にも雨が降ったりして時計がかかれば、さらにやれる可能性はあると思います」と手応えをにじませた。昨年5月に今回と同舞台、不良馬場の
烏丸S(3勝クラス)を5馬身差で圧勝。やや重〜不良馬場だと【4・1・2・3】で連対率50%を誇るだけに週末の雨予報は歓迎材料だ。
角居厩舎の調教助手時代に父
エピファネイアの調教にも携わる機会があった。「どの馬も触らせてもらえる厩舎でしたので。走ることに対して、我が強いところはありました」と振り返りつつ「体形や気性面はあまり似ていないけど長距離適性や心肺機能の強さを受け継いでいるのかな、と思います」と13年
菊花賞、14年
ジャパンCを制した父の姿をだぶらせた。
調教師試験に合格後、技術調教師として中内田厩舎で研修。その際に学んだ角馬場でのフラットワークを取り入れている。「
ブローザホーンも最初は詰めた駆け脚をうまくできなかったけど時間がたって上手にできるようになりました」。
阪神大賞典を踏まえ、馬具や調教方法を工夫し、
天皇賞・春の好走につながった。素質開花の時を迎え、いざ
グランプリへ。今なら
ビッグタイトルに手が届く。
◇吉岡 辰弥(よしおか・たつや)1976年(昭51)3月2日生まれ、京都府出身の48歳。93年7月から栗東・藤岡範厩舎で調教助手を務め、08年3月に角居厩舎へ。担当馬
サートゥルナーリアで18年
ホープフルS制覇、19年に調教師免許を取得、20年3月に厩舎を開業。同年は
JRA14勝、21年は
スマッシャーの
ユニコーンS、
ジャスティンロックの
京都2歳Sを含む27勝、昨年38勝でキャリアハイを更新した。先週終了時点で今年18勝。「角居厩舎で学んだことがベース」と話す。
JRA通算1006戦119勝、うち重賞は今年の
シンザン記念(
ノーブルロジャー)、
アーリントンC(
ディスペランツァ)を合わせて4勝。
スポニチ