【池江泰郎 匠の解説】勝ち馬が選択した直線の進路は外も外、ほとんど外ラチ沿いだった。G1では珍しい光景だが、その背景にあるのは降り続けた雨と内の荒れた馬場に起因するものだった。距離損など、お構いなし!とばかりに23歳の若武者は
ブローザホーンの道悪巧者ぶりを信頼していたのは明らか。力を余すことなく人馬のG1初勝利を演出してみせた。
出走馬全てに舞台の裏側などの物語はある。
ブローザホーンでいえば育ての親は2人。ダービージョッキーでもあった中野栄治師の下で活躍、今年3月の定年で関西に転厩となった経緯があるので、察するに前任の指揮官は人知れず喜んでいよう。そして受け継いでG1馬に育て上げた吉岡師の手腕も称えられるべき。大輪の花を咲かせた2人の調教師のバトンタッチを私も素直に祝福したい。騎手に視点を当てれば菅原明騎手はG1初勝利に、はじけるような笑顔が印象的だった。人気があるようでファンの歓声も大きく温かいものだった。年齢的に悲願などではない。これから大きく成長していく若手騎手だ。一流の道を歩むに、まずは最初の分厚いハードルを突破した、という評価でいいだろう。
明暗クッキリは圧倒的1番人気
ドウデュースと2番人気
ジャスティンパレスが掲示板を外したこと。おそらく道悪に泣いたものだろうが、当事者は必要以上に泣き言めいたことを口にしていないのではないか。この2頭に関しては道悪適性の優劣による結果だと思う。
恵みの雨があれば、逆に涙雨もある。これが競馬なのだとかみ締めたい。(スポニチ本紙評論家)
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