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【追憶のラジオNIKKEI賞】02年カッツミー 「何ということだー」Mr.ピンクが13頭をのみ込んだ

スポニチ
  • 2024年06月26日(水) 06時45分
 福島競馬場は時々、びっくりするような追い込みが決まることがある。ラジオNIKKEI賞が、まだ「ラジオたんぱ賞」だったころの02年。4角14番手から13頭をのみ込んで勝ち切ったカッツミーには、現場で見ていて思わず「うわー」と声が出るほど驚いた。

 前週に500万(現1勝クラス)の栗子特別を勝ったばかりでの連闘。皐月賞4着馬(ダイタクフラッグ)や同6着馬(サスガ)などがいる中、さすがに厳しいと思われたか、カッツミーは15頭立ての8番人気にとどまった。

 1000メートル通過は58秒2の、やや速い流れ。序盤は10番手を進んだカッツミーだが、3角過ぎで上昇する後方の馬たちについていくことができず、4角では14番手へと位置を落とした。

 だが、鞍上の内田利雄は全く諦めていなかった。その勝負服の色から「ミスターピンク」の異名を取る地方競馬の名手。00年の地方競馬年度代表馬に輝いたベラミロードとのコンビで名を売った。

 その内田の脳裏にあるアドバイスがよぎった。「直線で間に合わないと思っても間に合うから」。前週、栗子特別でカッツミーをVに導いた丸山侯彦(よしひこ)騎手からもらった言葉だった。

 3角過ぎでは心に焦りが浮かんだが、4角で馬がハミを取ると、内田に勇気が芽生えた。「だいぶ離れているけど馬群は固まっている。いけるかな」。1頭、2頭…。最後は残り30メートルで先頭に立ち、ほぼ勝利を手中にしたはずのレニングラードをものみ込んだ。

 「カッツミーがやってきたー!何ということだー!」。テレビの実況は前代未聞のフレーズでゴール前を伝えた。「何ということだ」。実に味わい深い。アナウンサーの胸中をこんなに適切に伝える言葉は他に見当たらない。

 「なかなかチャンスはもらえないが、騎乗依頼があったら、責任は果たしたいと常に思っています」。内田はお立ち台で胸を張った。

 南田美知雄師が面白い話を教えてくれた。ラジオたんぱ賞には乗れない丸山騎手が「僕の代わりに」と紹介したのが内田だったという。今はもうない北関東競馬の顔だった2人がタッグを組んだと思えば、この衝撃的な勝利も納得がいくというものだ。

 ちなみに丸山侯彦の長男がJRA騎手の丸山元気。元気も21年のラジオNIKKEI賞ヴァイスメテオールで制している。

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