歴史に残る「逃亡者」と言っていいだろう。逃げて、逃げて、逃げまくって重賞を3勝した
ツインターボ。なかでも後に名コンビと言われる
中舘英二騎手が初騎乗し、鮮やかな逃げ切りを決めた93年の
七夕賞を振り返りたい
ツインターボは
父ライラリッジ、
母レーシングジイーン、母の
父サンシーの血統。ハナを主張する
スタイルは若駒の頃から徹底されていた。3歳春のデビューから2連勝を果たすと、夏のラジオたんぱ賞で重賞初制覇。続く
セントライト記念、
福島記念でも2着に好走し、将来を嘱望された。しかし、
有馬記念で14着に大敗すると、そこから11カ月の休養へ。復帰後も精彩を欠き、低迷の中で迎えたレースが5歳夏の
七夕賞だった。
「逃げの名人」
中舘英二騎手との初コンビとなった一戦。大外の16番枠から飛び出した
ツインターボはこの日も逃げた。それも中途半端なペースではない。前半3Fは自身最速となる33秒9。そこからも11秒台のラップを並べて、前半5Fは57秒4。向正面に入ると、後続との差は広げていった。最後の直線、2番人気の
アイルトンシンボリ、1番人気の
ダイワジェームスも必死に追ってきたが、なかなか差は詰まらない。終わってみれば2着の
アイルトンシンボリに4馬身差の圧勝。見事な逃げ切りで、2年ぶりの勝利を手にしたのだった。
続く
オールカマーで重賞連勝を果たし、
ツインターボと
中舘英二騎手のコンビは全国区となった。稀代の逃亡者と逃げの名手が出合ったレースとして、31年前の
七夕賞はいつまでも語り継がれていくはずだ。