先週は1200mの距離の番組しかなかった小倉の新馬戦。今週からは毎週、芝1800mか芝2000mの中距離の番組が組まれている。開催時期は例年と違うが、小倉芝中距離のデビュー戦を勝った中には
クロノジェネシス(
父バゴ)や
ドウデュース(
父ハーツクライ)といったGIホースがいるだけに、今年の小倉芝中距離にも注目していきたい。
【7月7日(日) 小倉芝1800m】
◆
バズアップビート(牡、父
エピファネイア、
母ビートマッチ、所属・
友道康夫厩舎)
全姉に新潟芝1600mの新馬戦を勝った
ミントがいるが「(
ミントが)
アルテミスSで東京へ輸送した時に
テンションが上がってしまって、それ以降、潜在能力通りの走りができなくなったところはあったかも」と振り返る。
そういった気性面においての懸念はあるものの、本馬は牡馬。性別の違いもあるのか、現時点では追い切りでも落ち着いて走ることができており、6月27日のCW追い切りでは抜群の動き。
レースで騎乗予定の
坂井瑠星騎手が跨り、新馬
ジュンライデンと
ダンテスヴューとの3頭併せで最先着している。
ダンテスヴューといえば、厩舎の中でも追い切りの動きはトップクラス。6F81.9秒という時計以上に走る印象を受ける追い切りだった。
◆
ダノンシーマ(牡、父
キタサンブラック、
母インクルードベティ、所属・
中内田充正厩舎)
母は現役時代に北米G1、マザーグースSを勝っている。本馬は2023年セレクトセール1歳にて、3億1000万円(税抜き)で落札されている。
栗東への最初の入厩は3月30日。このタイミングでゲート試験に合格し、その後はノーザン
ファームしがらきで調整を進めて、6月7日に栗東へ再入厩した。坂路とCWを併用して追い切りを積み重ねていき、1週前追い切りはCWでレースでも騎乗予定の
川田将雅騎手が騎乗。3頭併せを前後に馬のいる状態の真ん中で構えてゴールでは最先着。この日の馬場状態は少し重かったが、それを苦にすることもなく、スムーズな加速を見せていた。時計は6F84.7秒と速くないが、動きの質は高い。
◆
ジョバンニ(牡、父
エピファネイア、
母ベアフットレディ、所属・
杉山晴紀厩舎)
ひとつ上の半姉に
チューリップ賞2着、
桜花賞7着の
セキトバイースト(父
デクラレーションオブウォー)がいる。本馬は2023年セレクションセール1歳にて、3900万円(税抜き)で落札されている。
6月13日にゲート試験を合格して、そのまま栗東で在厩調整。6月26日のCWでは
松山弘平騎手が跨り、3歳未勝利クラスの馬を追走して先着。6F84.6秒と全体時計はさほど目立たなかったが、ラスト2Fは12.2秒、11.6秒とゴール前でしっかり伸びていた。父
エピファネイアは
テンハッピーローズ(
ヴィクトリアマイル)、
ダノンデサイル(
日本ダービー)、
ブローザホーン(
宝塚記念)といった産駒たちが今春のGIを制覇。2歳馬たちもその勢いに乗っていけるだろうか。
【7月7日(日) 小倉芝1200m】
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スリールミニョン(牝、父
ミスターメロディ、
母ルミノハレブタイ、所属・
高橋康之厩舎)
母系には芝で5勝を挙げ、函館ス
プリントS3着などの重賞実績を残した
タイセイアベニール(父
ベーカバド)がいる血統。本馬は2024年
JRAブリーズアップセールにて、1950万円(税抜き)で落札されている。父
ミスターメロディは2019年
高松宮記念でGIを制した今年の新種牡馬。
5月3日に栗東でゲート試験を合格して、牧場で調整した後、6月14日にキャニオン
ファーム土山から栗東へ再入厩。6月20日の坂路で古馬3勝クラスの馬と併せて先行したとはいえ、同入してみせた脚力は素質の片鱗を見せる動きだったが、6月27日の時計が抜群。3歳未勝利クラスの馬を追走して3着しているが、4F52.0秒、2F24.3秒、1F12.0秒は体重の軽い
永島まなみ騎手が跨っていたとはいえ文句なしの数字。父産駒の
JRA初勝利の可能性も十分ありそうだ。
(取材・文:井内利彰)