日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は栗東取材班の田村達人(31)が担当する。昨年3月に右前屈腱炎が判明し、休養中だった
ヴェローナシチー(牡5=佐々木)が栗東に帰厩した。22年
京成杯3着、
京都新聞杯2着の実績馬が20日の小倉11R・テレQ杯(3勝クラス、芝2000メートル)での復帰に向けて、着々と準備を進めている。
昨年1月15日の
日経新春杯11着後に右前屈腱炎が判明し、休養中だった芦毛馬
ヴェローナシチーが先月21日、放牧先のチャンピオンヒルズ(滋賀県大津市)から栗東に帰厩した。きょう3日、ゲート試験を受け、団野との再タッグで20日のテレQ杯で復帰戦を迎える。佐々木師は「今のところ脚元は問題ない。無事に戻ってくることが一番大事だけどレースが楽しみ」と思いを口にした。
屈腱炎が判明した後、馬の温泉でおなじみの福島県いわき市「競走馬リハビリテーションセンター」に移った。手術は無事に成功。長いリハビリ生活を終え、約1年4カ月ぶりに栗東での調教を再開した。帰厩時の馬体重は前走時506キロから50キロ増の556キロだったが坂路とプール併用で20キロ絞れた。先月26日は坂路4F55秒7〜1F12秒7を馬なりで刻み、少しずつピッチを上げている。「能力が高いので時計を出そうと思えば出るが、そこは細心の注意を払いながら段階を踏んでいる。その中でも、ほれぼれする脚さばきと乗り味だね」と絶賛した。
当歳の頃、生まれ故郷の北海道新冠町カミイスタットで出合い、佐々木師は「雰囲気があり、見た目も良かった。この馬とダービーに行く」と、ひと目ぼれ。21年7月11日の小倉芝1800メートルでデビュー。2戦目で初勝利を飾った。翌年、ダービー出走を懸けた東上最終便・
京都新聞杯では後方から3角手前で一気にポジションを押し上げる強気なレース運び。直線でいったんは先頭に立ったがゴール前、外から勝ち馬
アスクワイルドモアに差され、半馬身差の2着。「目いっぱいに仕上げて、勝てる自信があった。完璧な立ち回りをした勝ち馬があっぱれだけど少しの差、悔しかったね。ショックで落ち込んだよ」。賞金が足りず、ダービー出走はかなわなかった。
京都新聞杯で1番人気5着に敗れた
ブラックブロッサムは屈腱炎明けだった先月15日の保津峡Sを危なげなく押し切り、オープン入り。他にも今年だけで3月
大阪城Sステラヴェローチェや6月
鳴尾記念ヨーホーレイクが屈腱炎を乗り越え、復活Vを遂げた。まだ可能性は十分に残されている。地道にトレーニングを重ね、待ちに待った復帰戦はデビューの地・小倉。奇麗な芦毛の馬体が、もうすぐターフに戻ってくる。
◇田村 達人(たむら・たつと)1992年(平4)11月12日生まれ、大阪市城東区出身の31歳。高校卒業後に北海道新ひだか町ケイアイ
ファームへ。育成&生産に携わる。予想
スタイルは取材の感触を重視。今週末は小倉出張。夜の食事が楽しみだ。
スポニチ