「プロキオンS・G3」(7日、小倉)
新怪物誕生の予感-。圧倒的1番人気に支持された
ヤマニンウルスが、無傷の5連勝で重賞初制覇を飾った。初の重賞挑戦だったが、横綱相撲での快勝劇。名手・
武豊騎手(55)=栗東・フリー=もその強さに舌を巻き、管理する
斉藤崇史調教師(41)=栗東=は年末のG1挑戦を力強く誓った。2着に3番人気の
スレイマン、3着には12番人気の
マリオロードが入った。
進撃がさらに加速する衝撃の快勝劇だった。
ヤマニンウルスはスタートしてすぐに好位の3、4番手へ。4コーナーを抜群の手応えで逃げる
ブルーサンをかわすと直線では完全にセーフティーリード。手応えに余裕を残しながら無傷のデビュー5連勝で重賞初制覇を成し遂げた。
初の重賞挑戦でも力の違いを見せた。「改めて強いなと感じました。もまれたり、砂をかぶった経験がないのでそうならないように。いいポジションが取れました。今まで乗った中で一番いい雰囲気でしたし、今回がまだ5走目。重賞でこの内容ですから。どこまで強くなるのか楽しみ」。
武豊は期待通りの完勝を納得の表情で振り返る。
タイトルへの道は決して平たんではなかった。当初は5月の平安Sを予定していたが、爪の不安でスライドを余儀なくされた。それでも慌てず、じっくりと立て直した成果が出た。体質の弱さと戦ってきた陣営の努力が実っての初タイトル奪取。斉藤崇師は「馬体が緩かった馬が少しずつ成長してくれています。だいぶしっかりしてきましたが、まだ成長の余地はあります。その意味で楽しみですし、頼もしい馬です」と目を細める。
レース後は、いったん宇治田原優駿ステーブルに放牧へ出される予定。「状態を見て年末のG1、チャンピオンズCとかに行けるなら行きたい」と師の期待は大きい。無敗でのJRA古馬重賞制覇は、
グレード制導入の84年以降では史上7頭目。底知れぬスピードと
パワー。無限の可能性を秘める新怪物候補がこの秋、いよいよダート界の頂点を目指していく。
提供:デイリースポーツ