日本最大級の競走馬セール「セレクトセール2024」が9日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた。2日目の当歳セリでは米国ダート血統が活況。セール唯一の上場だったG1・6勝
ガンランナー産駒に3億円。6戦無敗で引退した新種牡馬
フライトライン産駒2頭も2億円超えで落札された。また、売り上げは2日間合計で史上最高の289億1800万円となった。(落札額は税抜き)
“ダート熱”が高まる昨今の日本競馬。その熱を象徴するように、ダート競馬の本場米国から持ち込まれた血統馬が熱視線を浴びた。まず会場をどよめかせたのは、この日唯一の
ガンランナー産駒「
アーモニーズエンジェルの2024」(牡)。父は17年ブ
リーダーズカップ(BC)クラシックなど米G1・6勝の名馬で、半兄に米G1勝ちがいる良血。芝馬が主体のセレクトセールにおいて、砂血統としては破格とも言える3億円の高値をつけた。
同じく
BCクラシック(22年)を勝ち、同年の米
年度代表馬に選出、6戦無敗のまま種牡馬入りした
フライトラインの初年度産駒も大盛況。3頭が上場され、うち2頭が2億1000万円。母がアルゼンチンG1・2勝の「
タングリトナの2024」(牡)を落札したのは「
ショウナン」の冠名で知られる国本哲秀氏。「夢を買った。それだけです」と納得の表情を見せた。
「
グレースアドラーの2024」(牡)を落札したのは、初日から高額馬を次々と購入したダ
ノックス。岡田良樹
ディレクターは「一度走ってみないと分からない部分があるが、夢を買わせていただいた」と無限の可能性に懸ける。続けて「うちのオーナーもこの血統には興味を持っていて、3頭をじっくり吟味した。その結果、母系のダート血統が良く馬体の評価も高かった。ちゅうちょなく買いました」と決め手を明かした。
ダートの本場米国で最も格式が高いとされる
ケンタッキーダービーで
フォーエバーヤングが僅差の3着に好走。
ウシュバテソーロが昨年のドバイワールドCを制するなど、近年は日本調教馬の海外ダートG1での活躍が目立つ。国内にも今年から3歳ダート3冠路線が整備され、活躍のフィールドが飛躍的に増えた。当歳セリでの“ダート血統人気”は、日本競馬の新時代の訪れを確実に予感させた。
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ガンランナー 父キャンディライド、米国のダート戦線で活躍し、19戦12勝。引退するまでのラスト5戦はG1で5連勝を飾り、17年
BCクラシック、18年
ペガサスワールドCも制した。獲得賞金は北米歴代2位(当時)となる1598万8500ドル(当時のレートで約17億5873万5000円)を記録。種牡馬入り後は初年度産駒
エコーズールーが21年BCジュ
ベナイルフィリーズを勝つなど、新種牡馬リーディングに輝いた。日本でデビューした産駒には
JRA4勝を挙げた
ドライゼがいる。
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フライトライン 父タピット、6戦6勝で引退した米国の怪物ホース。6戦で2着馬につけた着差は計71馬身差。22年米G1パシフィッククラシックは19馬身1/4差をつけ、与えられたレーティング140
ポンドは芝で無敗の
フランケル(12年)と並び史上最高の評価となった。ラストランとなった22年
BCクラシックも着差レコードとなる8馬身1/4差の圧勝。種付け料は初年度から破格の20万ドル(当時のレートで約2840万円)に設定された。
スポニチ