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馬も大好き函館競馬場内温泉施設の“効能”

スポニチ
  • 2024年07月10日(水) 10時30分
 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週担当する東京本社・鈴木悠貴(33)が注目したのは函館競馬場内にある温泉施設。JRA獣医師の村中雅則さんに話を聞き、その効果に迫った。

 昨年、函館で取材していた時のこと。ある厩舎関係者に「この馬はなんで函館だと走るんですか?」と質問すると「温泉が好きだからじゃないかな」と驚きの返答が。恥ずかしながら、私はそこで競馬場内に「馬の温泉」があることを初めて知った。「どんな施設なんだろう」。その疑問を解決すべく、今年は函館競馬場スタッフのご協力の下、施設を見学させていただいた。

 「プールや海水を使った施設は他の国にもありますが、温泉施設は日本だけしかありません」。案内してくれたのは、自身も温泉ソムリエを取得するほどの大の温泉好きだというJRA村中獣医師。元々、競走馬の温泉は62年に湯の川温泉の「大湯温泉」内に温泉療養施設を開設したのが始まりだそう。その後は交通事情により一時廃止されたが81年、厩舎関係者の強い要望により競馬場内に“再設置”。現在は1日6〜10頭が温泉を利用しているという。

 泉質は塩化温泉。効能は血行促進による疲労回復効果、関節や腱など各種運動器の炎症治療、リラックス効果と言われている。また、飲泉による胃腸疾患や便秘に対する効果もあるそうだ。「唯一のデメリット」として村中獣医師が挙げたのは爪への影響。「ふやけたり硬くなったりを繰り返すと爪がボロボロになります」。また、一部の関係者には「競馬中にリラックスし過ぎるのもどうか」という意見もあるようで、温泉を利用する厩舎と利用しない厩舎に分かれている。

 村中獣医師に話を聞いているさなか、助手に連れられ、ある5歳馬が温泉施設にやって来た。人と同じくシャワーで一通り体を洗った後、40度前後の温泉がたまった浴槽へ。上部に取り付けられたシャワーで背中や腰にお湯をかけられると馬は舌を出し、目はうつろ。完全リラックスモードだ。「気持ち良過ぎて寝てしまう馬、寒い時季には温泉から出ようとしない馬もいるんですよ」と村中獣医師。温泉好きなのは人間だけではないようだ。

 ミホシンザンスーパークリークナリタブライアンカネヒキリなどの名馬も英気を養った函館競馬場内の温泉施設。一戦ごとの疲労が大きくなっている今だからこそ、こういう“癒やし空間”の役割は増していくのかもしれない。

 ◇鈴木 悠貴(すずき・ゆうき)1991年(平3)4月17日生まれ、埼玉県出身の33歳。千葉大法経学部を卒業後14年にスポニチ入社。昨年1月から競馬担当。

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