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“ヤッコさん”へ感謝忘れぬ田村調教助手

スポニチ
  • 2024年07月12日(金) 05時05分
 【競馬人生劇場・平松さとし】1976年5月生まれで現在48歳なのが田村亮平調教助手。美浦・国枝栄厩舎に所属している。

 高校時代、同級生の影響で競馬を見始めると、すぐにこの世界に入ることを決心。牧場でのアルバイトを始めた。高校卒業後はJRAの宇都宮研修所、育成牧場を経て、競馬学校に入学。98年から美浦トレセン入りし、現在の国枝厩舎には2012年に移った。

 「国枝厩舎はアーモンドアイ等、たくさんの名馬がいましたが、自分はなかなか重賞を勝てませんでした」

 同僚が次から次へと結果を残していく中、重賞を勝てない日々が続いた。しかし「いつかは自分も!」と腐らずにやっていると、手応えを感じる馬との出合いがあった。

 「第一印象は本当に白いな、という感じでした」

 そう評するのはハヤヤッコ。白毛馬だった。

 田村調教助手の感覚に誤りはなかった。19年のレパードS(G3)、真っ白な馬体が真っ先にゴールに飛び込んだ。しかし…。

 「この時、自分は別の担当馬と一緒に北海道へ行っていました。だから一時的に他の厩務員が担当していたんです」

 本来うれしいはずの重賞制覇だったが、肩を落とし「つくづく自分に重賞は縁がないんだ」と思った。

 それからもなかなか大仕事をできないまま3年が過ぎた。そんな22年の7月、ついにその時が来た。

 雨に煙る函館競馬場で、白い馬体を他馬が蹴り上げたキックバックで黒くしながら、ハヤヤッコが先頭でゴールイン。函館記念(G3)を勝利。ハヤヤッコをニックネームの“ヤッコさん”と呼び、当時の心境を述懐した。

 「やっと重賞を勝てて、ヤッコさんには感謝しかありませんでした」

 今年はステレンボッシュも担当し、ついにG1(桜花賞)も優勝した。そして、今週末、ハヤヤッコと共に函館記念2勝目に挑む。鞍上で笑みを見せながら田村調教助手は言った。

 「道悪にはならなさそうですが、状態は良いので頑張ってほしいです!!」(フリーライター)

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