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唯一の「地方から中央を制した馬」 マーキュリーCに名を残すメイセイオペラの蹄跡たどる

  • 2024年07月15日(月) 10時13分
 盛岡競馬場で7月15日(月)に行われるマーキュリーカップ(3歳上・JpnIII・ダ2000m)。同レースには「メイセイオペラ記念」との副題がある。同馬は90年代後半〜00年にかけて活躍した岩手の雄。夏の名物重賞を前に、みちのくの地から大舞台へと羽ばたいたその蹄跡をたどる。

 父グランドオペラ母テラミス、母の父タクラマカンの血統。父はニジンスキーの直仔だが、母は岩手の2勝馬だった。決して目立つ血筋では無かったが、デビュー後のメイセイオペラは、地方競馬の枠にとどまらず、日本のダート史に残る名馬へと成長していく。

 96年夏にデビュー勝ちのあと4連敗を喫したが、同年秋から無敵の快進撃。重賞の東北優駿不来方賞を含む9連勝で、地方では注目の存在となる。だが、交流重賞へのチャレンジ目前、馬房で顔面を痛打する事故があり、頭蓋骨骨折の大ケガを負う。一時は競走馬生命さえ危ぶまれるほどの重症だったが、関係者のけん命な治療により復帰。暮れの桐花賞を制して勢いを取り戻すと、再び全国に矛先を向けた。

 そんな彼の前に立ちはだかったのが、生涯で交流GI・4勝を挙げたアブクマポーロである。両者は「AM対決」などと銘打たれ、中央馬を差し置いて数々の名勝負を繰り広げた。川崎記念帝王賞ではアブクマポーロに軍配が上がったが、南部杯ではメイセイオペラが雪辱。しかし、暮れの東京大賞典では2馬身半差の完敗に終わり、距離適性などを考慮して、川崎記念ではなくフェブラリーSへの挑戦を選んだとされる。

 JRA初のダートGIに格上げされた99年のフェブラリーSは、重賞4勝馬ワシントンカラー桜花賞キョウエイマーチなど強力メンバーが揃ったが、メイセイオペラは道中5番手から直線でも楽に2馬身差の完勝。現在まで唯一の地方所属馬によるJRA・GI制覇であり、後年につくられたCMでは「地方から中央を制した馬」とのキャッチフレーズが付いた。

 その後も帝王賞を制すなど、00年に引退するまで35戦23勝(うちGI級・3勝)。引退後は種牡馬となり、地方重賞馬を複数出したほか、晩年は韓国に渡って種付けを行った。同国でもクラシックホースを送り出すなど活躍したが、16年に心不全のため死亡。彼の素晴らしい功績を讃え、水沢競馬場には記念碑が建てられたほか、盛岡ではマーキュリーCの副題となった。

 今年の同レースには、秋以降の飛躍を誓う14頭が集結。夏の熱さに負けないアツい戦いを繰り広げてくれるはずだ。

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