【競馬人生劇場・平松さとし】今週末のメインレースは
中京記念(G3)。11年より以前は2000メートルの競走だった。そんな中距離戦だった10年に勝利したのが
シャドウゲイト(美浦・
加藤征弘厩舎)。当時、8歳という古豪ながら、トップハンデの57・5キロを克服し、見事に先頭でゴールに飛び込んでみせた。
騎乗したのは
田中勝春騎手(当時)。現在、技術調教師として来春の開業を待つ彼と、
シャドウゲイトとのコンビは、海を越えた海外でも天国と地獄を味わった盟友だった。
この
中京記念からさかのぼること、実に3年。07年に
シンガポールで行われた
シンガポール航空国際C(当時G1)に、彼らは挑んだ。現在では既に競馬そのものの廃止が決まった
シンガポールだが、当時は国際G1レースがあった時代。日本でのG1勝ちはなかった
シャドウゲイトだが、果敢に挑むと2着の
コスモバルクと共に日本馬のワンツーフィニッシュ。中距離戦における日本馬の強さを証明してみせた。鞍上の
田中勝春騎手は前月に
ヴィクトリーで
皐月賞を勝ったばかり。「
ヤマニンゼファー(92年
安田記念V)から
ヴィクトリーまで時間がかかったのに、またすぐに勝てるとは。しかも海外で!」。満面の笑みでそう語った。
帰国後は勝ち星から見放されたものの、
シンガポール以来、3年ぶりの勝利となったのが冒頭で記した
中京記念だった。こうして復活した古豪は、再び海を越える。3年ぶり2度目の勝利を目指し、
シンガポールに降り立ったのだ。
現地到着後も至って順調で「暑い方が好き」と語る
田中勝春騎手も終始
リラックスした表情。2度目の大仕事は十分あると思えたが、まさかの結果が待っていた。発走を間もなくに控え、ゲートに入った
シャドウゲイトだが、ここで後ろ扉をキック。「その際、外傷を負った」という発表でまさかの除外になってしまったのだ。
当時より距離が短縮され、今年は小倉が舞台となる
中京記念だが、海外のレースにつながる馬が出走するのだろうか。注目したい。 (フリーライター)
スポニチ