「
中京記念・G3」(21日、小倉)
灼熱(しゃくねつ)の太陽が照りつけるなか、今年の小倉開催を締めくくる熱い戦いを制したのは5番人気の
アルナシームだった。
セルバーグと
テーオーシリウスが競り合い、1000メートル通過が57秒5の超ハイペースとなったが、横山典のベテランらしい冷静な騎乗で中団から突き抜け、重賞初制覇を果たした。2着に2番人気の
エピファニー、3着に1番人気の
エルトンバローズが入った。
チームでつかみ取った栄光だ。検量室前に引き揚げてきた横山典は両手を力強く掲げ、勝利をかみしめる。「こんなにうれしいことはないよ」。感謝を込めて
アルナシームの首を優しくなでた。
道中は7番手を追走。焦らず、じっくりと-。4角手前で、徐々に進出を開始し、前が苦しくなるなか、抜群の手応えで直線へ。一気に抜け出すと鞍上の左ムチに応え、力強く馬場の真ん中を先頭で駆け抜けた。
見事に重賞初制覇へと導き、「繊細な馬なので馬のリズムだけを特に気を付けました」とうなずく。「初めて乗ったのが3走前で、そこから競馬や攻め馬に乗って、橋口先生と厩務員さんと3人であれこれ考えながらやってきました。
アルナシームと勝ててとてもうれしい」。試行錯誤の日々が最高の結果となり、百戦錬磨のベテランも思わず頬を緩めた。
満面の笑みで出迎えた橋口師は鞍上と固い握手を交わし「言うことないですね。重賞は獲らさないといけない馬だと思っていたのでホッとしています」と胸をなで下ろした。折り合い面の課題と常に向き合い、重賞挑戦9度目にしてのタイトル奪取。「パドックからすごく落ち着いて、レースでも折り合って上手に競馬ができていました。いろいろ考えてきたことが実を結んだなと思います。典さんも馬具のことなど、本当にいろいろアド
バイスをくださいました。馬もよく応えてくれた」と感慨深げだった。
サマーマイルシリーズの単独首位に立ったが、指揮官は「今年に入ってずっと使ってきたので、少し休ませて体調を見て考えていきたいです。大人になってきましたし、今なら二千も大丈夫だと思います」と秋の重賞戦線を見据える。ひと皮むけた5歳馬の動向から目が離せない。
提供:デイリースポーツ