意地の騎乗でJRA騎手の最後を締めくくった。19日にNAR(
地方競馬全国協会)騎手免許試験に合格し、8月から古巣の兵庫競馬に復帰する
小牧太。21日、最終レース終了後のセレモニーには福島1Rで勝利を挙げた息子の加矢太も駆けつけ、多くのファンに見守られるなか4度宙を舞った。
JRA所属として最終週となる27、28日の開催は騎乗予定はなく、12Rが“ラスト”。そこで劇的なドラマを演出した。12番人気
モズアカボスで勝利し、小倉競馬場は歓声と万雷の拍手に包まれた。「魂の騎乗やね。並んでからは気持ち。最後に勝ったから良かった。数を乗ったら勝てるってことです。これぐらいの馬に乗せてよ」と苦笑いの
小牧太。JRAでは約1年9カ月ぶりの勝利を決め、3連単は131万馬券の波乱に。所属を地方に移してでも現役にこだわる理由を、今年の初勝利で自ら体現した。
減少する騎乗数に悩み、決断したのが兵庫競馬への復帰。「何とか現役を続けていくためにいろいろ考えて、いろんなことをやった。まだまだ体は元気だし、やれると思っていたので。第二の人生っていうか、新たな道ができて良かった」。56歳でも道半ば。今後は
地方競馬が活躍の場となる。「昔の自分に負けないように切磋琢磨して頑張っていく途中。園田に行ったら活躍したい。まだ引退式じゃないので、園田で引退式をする時は皆さん来てください」と、ファンの声援に応えた。
04年の中央移籍から20年がたった。08年
桜花賞(
レジネッタ)制覇などG12勝を含むJRA重賞34勝を挙げ、同通算911勝を記録した。「たくさんの騎手仲間がいて、若さを保てたのは騎手みんなのおかげ。楽しかったです」と感謝する。“泣き虫ジョッキー”に涙はなかった。新たな野望と希望を胸に、地方のヒーローがまた返り咲く。
提供:デイリースポーツ