JRA美浦トレーニング・センターのある茨城県美浦村が、競馬を活用した地域活性化に力を注いでいる。ふるさと納税の返礼品に競馬グッズを活用し、最近ではクロス
メディアコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」とのコラボキャンペーンを実施。「競走馬の里美浦」をアピールし村を元気にする。
美浦村は東京から約60kmで県南部に位置し人口約1万4200人(2024年7月1日現在)。1978年に美浦トレーニング・センターが開設されて以降、競馬ファンの間では有名な地名の一つであろう。村には国史跡である縄文遺跡「陸平貝塚」を有し、お米や野菜を生産する“農業のまち”という一面も持つ。そんな美浦村だが、今年は村内の地域交流館「みほふれ愛プラザ」に、美浦にゆかりある「ウマ娘」のキャラクターの等身大パネル10体を設置し、さらにキャラクターのクリアカードを配布するなどして、村として競馬に関連する活性化策に力を入れている。“トレセンのまち”が「ウマ娘」とコラボしたのはなぜなのか。
同村が競馬を活用した地域おこしをはじめたのは88年で、トレセン開設10周年の節目でNHKのど自慢を誘致したのがルーツ。以降、中山競馬場での
美浦ステークス(07年以前は美浦特別)開催日の物産展や、美浦所属の競走馬がGIを制覇時には横断幕やMiho Vision(LED電光掲示板)に掲示するなど取り組んできた。
近年、全国の地方自治体が力を入れているふるさと納税においても、美浦村の返礼品には競馬グッズが含まれている。これまで美浦トレーニング・センターの協力により競走馬のゼッケンや騎手のゴーグルなどを採用。さらに20年からは騎手の節目の勝利を記念したパネルを作成し、納税額に応じて贈っている。昨年には美浦所属の
横山武史騎手が500勝を達成した際に、「パネルはいつできるのですか」と村に問い合わせがあったという。
そして最近では、「ウマ娘」とのコラボも行なっている。村役場内ではかねてより、若者世代を中心に多くのユーザーが楽しんでいる「ウマ娘」とタッグを組むことで地域活性化につなげたい意向があった。そこで株式会社Cygamesへとアプローチし、地域交流館でのパネル展示実現へとこぎつけた。
施策の実施にあたっては、ふるさと納税を財源とした。同村に納税する際、使途を指定できるが、その一つに「競走馬の里美浦をひろくPRするための事業」がある。そこに集まった資金を活用することで、一般財源に頼らず実施することができた。また地域交流館には競走馬のゼッケンなどを展示。「ウマ娘」目当てで訪れた人々に対し、さらに競馬への関心を深めてもらう機会にもなることから、ふるさと納税の使途とも合致した。
村にとって、このようなコラボは初めてだったが、同社のサポートを得て今月8日から設置スタート。初日は平日だったものの多くの人々が来村し、村役場職員によると来場者からは「楽しかったです。ありがとう」といった声が聞かれたという。総務部企画財政課の大竹裕幸課長は、今回の取り組みについて「村の知名度向上と若い人に来てもらう機会になっています」と話す。
また今後の競馬を活用した取り組みに関しては、「今はせっかく村に来ていただいても馬とふれあう場所がない。引退馬を活用する形で今後力を入れていければと考えています」と、展望を語る。競馬ファンなら知らない人は少ない美浦村。村では実際の競馬からキャラクターまで活用し、村おこしに取り組んでいる。