先週21日、旭川などで道内今年初の猛暑日を観測した。全国的な酷暑のニュースにどこか他人事だった北海道にも、いよいよ短い夏がやってきたわけだ。
気温の上昇とともに、ホッカイドウ競馬では、本格的な2歳重賞戦線が熱を帯びてくる。今週行われる
リリーカップは、
エーデルワイス賞へと続く牝馬重賞路線の幕開けだ。
スピード勝負の1000m戦とあり、持ちタイムは大きな指標となる。その視点で見ると、1分0秒台で2戦2勝という
リオンダリーナが頭ひとつ抜けた存在だ。2戦とも逃げ切りでの勝利だが、デビュー戦は前半2ハロン25秒0、2戦目は23秒7と、まったく異なるペースを刻んでいる。それでいて走破タイムが不変なのだから、これは天性のス
プリントセンスだろう。先々は、2、3番手での競馬や砂を被る展開への対応がカギになるが、今回までは速さで押し切れそうだ。
不良馬場での例外を除けば、他のメンバーの持ちタイムは1分1秒台。タイム短縮の可能性が逆転のカギを握る。最もそれが大きいのが、唯一キャリア一戦である
ジャイヴトークだと筆者は見ている。デビュー戦はスタート後に外へ膨れる不利があり、そこから噴かして2番手へ押し上げる形。
前半2ハロン23秒6という速い流れだから、その時点でかなり脚は使ったはずだが、直線でもう一度エンジンが掛かって差し切ったのには驚いた。2着馬は次走で楽勝しており、レベルも相応である。当時の走破タイムは1分1秒2。スタートでのロスさえなければ、
リオンダリーナにも肉薄できるはずだ。
ゼロアワーは1000m未経験だが、1100mのデビュー戦はスピード任せの走りで1分7秒2だから、ここでも通用するタイム計算は成り立つ。揉まれ弱そうなタイプに映ったが、前走の
栄冠賞では好位の内々を器用に立ち回って3着に好走しており、1番枠の今回はこの経験が大いに生きそうである。同じ
栄冠賞組では、
スティールブライト、
ボディコンシャスも押さえておきたい。
この中から必ずや、秋の大一番で「門別最強」を証明する馬が現れるはずである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)