サ
マースプリントシリーズ第3戦「第24回
アイビスSD」は28日、暑熱対策による昼休みの拡大により史上初めて新潟7Rで行われ、3番人気の
モズメイメイが優勝。23年
葵S以来の重賞3勝目。来春で定年引退となる
音無秀孝師(70)は07年
サンアディユ以来となる本レース2勝目を飾った。
外ラチに殺到する馬たちの蹄音が次第に力強くなってくる。迎えるのは長い昼休みを経て、名物重賞を待ちわびたファンの大歓声。先頭で駆け抜けたのは、ラチから離れた馬場の真ん中を伸びた
モズメイメイだった。国分恭は「うまく運べなかったけど、馬の力で勝たせてもらいました。馬に感謝したいです」と相棒を称えた。
好枠15番から外ラチ沿いを狙ったが、他の馬たちが速く、窮屈な馬群の中へ。それでも、瞬時に実力馬
ウイングレイテストの背後につけたのが奏功した。抜け出した
グレイテストを追って進路を確保し、懸命な追い出し。ラストは首だけ前に出た。国分恭は「うまく(外へ)誘導できなかったので有力馬の後ろへ。馬がペース配分をして我慢してくれた。それでみんなが止まった時にもうひと伸びできた」と振り返った。
来春で定年解散となる音無厩舎の取り組みが結実した勝利だった。昨年の
チューリップ賞、
葵Sは逃げ切りV。控える競馬を目指したが、当時はうまく気持ちを抑えられず、ポテンシャル頼みの競馬が続いた。しかし、限界が訪れ昨夏から6戦連続で2桁着順に大敗。音無師は「行っておしまいというレースだけじゃ仕方がないから」と、脚質転換に本腰を入れた。そして、16番人気で3着に追い込んだ前走の
北九州記念で進化の兆し。音無師は「今日は15番枠を捨てる形にはなったけど、下げて控える競馬ができた。脚を残せていたね。1200メートルでもこういう競馬ができれば」と目を細めた。
今後について指揮官は「放牧を挟むけど、このまま
セントウルS(9月8日、中京)へ。サ
マースプリントシリーズを狙います」と力強い。音無厩舎のサマー女王といえば、07年の
アイビスSDを制した
サンアディユ。同馬は
北九州記念7着を挟んで
セントウルSを制し、秋の
スプリンターズSでも2着に好走した。偉大な先輩の背を追い、名伯楽のラストシーズンに花を添える。
モズメイメイ 父
リアルインパクト 母インラグジュアリー(母の父
フランケル)20年2月18日生まれ 牝4歳 栗東・音無厩舎所属 馬主・キャピタル・システム 生産者・北海道千歳市の社台
ファーム 戦績14戦5勝(重賞3勝目) 総獲得賞金1億6609万円 馬名の由来は冠名+人名の愛称。
スポニチ