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少しでも落馬事故防止へ 模索続ける高田

スポニチ
  • 2024年07月31日(水) 10時30分
 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の坂田高浩(39)が担当する。13日にJRA通算200勝を達成した高田潤(43)は、22年12月の落馬で第二頸椎(けいつい)骨折などの大ケガから昨年11月に復帰した。今の心境、落馬事故を少しでも防ぎたい思いから実現した新たな試みについても聞いた。

 27日の新潟ジャンプSに騎乗した高田は頸椎を保護する「ネックガードプロテクター」を着用した。落馬事故が起きた際、騎手の安全性を少しでも高めるための新たな試み。「事故の防止につなげるにはどうしたらいいのか、ジョッキー同士やJRAの職員さんと相談して常に考えています。レースで取り入れるにはハードルがなかなか高いんですが、言い続けることが大事」と説明した。

 JRAからネックガードプロテクター着用の承認を受け、競馬での使用が始まったのは先週から。26日に自身のX(旧ツイッター)に着用画像を投稿。調教でさまざまなタイプの保護具を試し、実際に使用したのはボートレース用のプロテクター。70グラムほどの重量で保冷剤を入れられるタイプもある。「これを着けていたら僕もここまで大ケガをしていなかったかもって思います」とつぶやいた。今春の調教時には乗馬用のエアバッグの試験着用も行われた。安全面への意識は確実に高まっている。

 自身は22年12月の落馬で第二頸椎の歯突起骨折および第一第二頸椎脱臼の重傷を負った。「首はめちゃくちゃ痛いんですけど、首から下の感覚はなくて…。ほとんどのジョッキーは同じケガをしたら(騎手を)やめていると思います」と振り返る。多くの人の支えで、リハビリを続けられた。

 23年11月に復帰、13日にJRA通算200勝を達成した。今も首にボルトが入っている状態ながら「バランスが戻ってきているのかなというのはあります」と手応えをつかんでいる。そして「今までも一鞍一鞍大事にしてきましたが、ケガをしてからはより一層、重みを感じるようになっています」とかみしめた。

 障害競走の魅力について「一頭一頭と向き合っている時間が長いです。平地だと1頭につき30分ぐらいが普通ですけど、僕の場合は45分ぐらい」と調教に時間をかける。SNSでの発信、引退馬支援なども精力的だ。競馬の魅力を伝え、競馬界をさらに良くしたい。その思いが高田を突き動かしていく。

 ◇高田 潤(たかだ・じゅん)1980年(昭55)11月3日生まれ、大阪府出身の43歳。99年に松田博資厩舎所属でデビューし、現在はフリー。JRA通算200勝(平地56勝、障害144勝)。01年小倉サマージャンプで重賞初V。06年神戸新聞杯で平地重賞初V。08年中山大障害でG1初制覇。

 ◇坂田 高浩(さかた・たかひろ)1984年(昭59)11月5日生まれ、三重県出身の39歳。07年入社で09年4月〜16年3月まで中央競馬担当。その後6年半、写真映像部で経験を積み、22年10月から再び競馬へ。

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