競馬において美浦といえば、
JRA美浦トレーニング・センターの名前を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。東の調教拠点がある美浦村は茨城県南部にあり、東京からは約60kmと日帰り圏内。“トレセンのまち”には何があるのか、そして競馬にふれるスポットは? ちょっと遠出も考えたくなるお盆休みを前に調べてみた。
美浦村は東京から車で約1時間、人口は約1万4200人(2024年7月1日現在)で、日本の湖沼では琵琶湖についで第2位の広さを誇る霞ケ浦のほとりに位置する。美浦トレーニング・センターが78年に開設されて以降、出走表などには厩舎名にあわせて美浦と表記され、全国的に知名度の高い村名といえよう。
近年、同村が競馬以外でも脚光を浴びることがある。霞ケ浦に隣接する大山湖畔公園には、戦争遺構である鹿島海軍航空隊跡が存在。戦中の水上機の実習訓練施設であり、終戦とともに役目を終えて、手付かずの状態だった。そんな戦跡は映画やドラマのロケ地として活用され、昨年公開の『ゴジラ-1.0』をはじめ、『映像研には手を出すな!』や『スパイの妻』などに登場。また近年は整備され、一般公開が行われる週末には、かつての面影を色濃く残す同遺構を見学しようと、県内外からの来場者でにぎわっている。
もちろん競馬にまつわるスポットも。村内の地域交流館「みほふれ愛プラザ」には競馬関係者の協力を得て、現役時代にGI・3勝を挙げた
ライスシャワーの
天皇賞(春)制覇時のレイなどを展示。美浦が生んだ名馬の活躍を今に伝えている。さらに今夏は、『ウマ娘 プリティーダービー』の中でも、美浦にゆかりあるキャラクターの等身大パネル10体を設置。さらに同キャラクターのクリアカードの配布を行うキャンペーンを8月9日まで実施(等身大パネルは同日以降も設置)している。
そして、村の知名度を高めたといえる
JRA美浦トレーニング・センター。約224万平方メートル、東京ドーム約48個分という広大な敷地を有し、
シンボル的存在といえる。通常トレセン内部に入ることはできないが、広報会館の「ターフプラザ」(
中央競馬開催日、通常土曜・日曜日開館)は一般でも見学でき、南調教馬場を一望可能。また同プラザにはGIレースの優勝馬パネルなども飾られ、栄光をたたえている。
歴史や競馬と並んで同村のキーワードとなるのが農業である。米や野菜の生産が盛んで、トレセンから出た敷きワラを完熟堆肥として使った農産物も多数。「美浦そだち」や「光一点」といったブランド米や、マッシュルームの生産に活用され、ここにも競馬とのつながりを感じさせる。美浦村役場職員によると地産品も扱っている「みほふれ愛プラザ」では、「特にお米は完売することがあるほど人気」とのことだった。
この夏は“トレセンのまち”を訪ね、歴史と競馬にふれるプチ旅行もいいかもしれない。