夏競馬で唯一のGIIである
札幌記念は、
天皇賞(秋)の実質的な
トライアルであるとともに、海外への
ステップレースという位置づけにもなっている。そこで今回は
札幌記念から海外に羽ばたいた馬を紹介する。
最初に取り上げるのは14年だ。この年は
凱旋門賞への参戦を表明していた2頭、
桜花賞馬の
ハープスターと
宝塚記念覇者の
ゴールドシップが出走した。レースは3角手前で最後方の
ゴールドシップが進出を開始すると、後方2番手の
ハープスターもここが勝負どころとばかりにスパート。直線は2頭のマッチレースとなり、
ハープスターが
ゴールドシップを3/4馬身差凌ぎ、先頭でゴールを駆け抜けた。2頭ともに前哨戦として十分な走りだったが、本番の
凱旋門賞では残念ながら結果を残すことができなかった。
続いては19年だ。この年も
凱旋門賞を見据える2頭、前年の
有馬記念覇者
ブラストワンピースと
天皇賞(春)を制した
フィエールマンが参戦した。レースは中団後ろからロスなく進出した
ブラストワンピースが、押し切りを図る
サングレーザーを捕らえて勝利。距離不足が心配された
フィエールマンも後方からジワジワ伸びて、合格点を与えられる3着だった。しかし、本番は
ブラストワンピースがブービーの11着、
フィエールマンが最下位の12着。改めて世界の壁を見せつけられる結果となった。
最後は3年前の21年だ。前々年の
オークス馬であり、春には香港G1のクイーンエリザベスII世Cを制していた
ラヴズオンリーユーがエントリー。1番人気に推されながら、早め先頭の
ソダシを捕らえることができず2着に敗れた。それでも、この一戦を使ったことで調整がしやすくなったのだろう、秋には米G1のBCフィリー&メアターフを勝ち、ラストランとなった
香港Cも制覇。歴史的名牝に上り詰め、ターフに別れを告げた。その後には、日本調教馬として史上初のエクリプス賞最優秀芝牝馬にも選出された。