JRAは暑熱対策として2回新潟開催で2週(7月27、28日、8月3、4日)で5Rから6Rを約3時間半空ける“昼休み”を導入し、最終レースは18時25分発走と競走時間帯を拡大する初の取り組みを行った。私も8月3、4日に新潟競馬場で実際に取材したが、ファン、関係者から声を聞いたので伝えたい。

　新潟に転勤して現地の競馬を毎年、楽しみにする旧友は1週目こそ休みを持て余したと話していたが、時間の感覚を把握した2週目は、一度、自宅に戻り食事を済ませるなどして再度、入場したという。その時間、私も場内を歩いたが、競馬場に残った人は、休止時間も開催している札幌競馬の予想に長い時間を割いたり、パドックウォークに参加したり、場内で行われたイベントを観覧するなど、混乱もなくおのおの過ごしていた。

　売り上げの4日間合計は、573億3418万9300円で前年比11・0％増と大幅に増加した。このことを考えれば、ファンは歓迎とは言わないが、声をかけてきた50歳代の男性が「馬のことを考えれば仕方ないんだろうと思います。これが当たり前になる時がくるんだろね」と話してたように、ある程度、受け入れているんだろうと思う。

　ただ、1週目にパドックウォークに参加した友人は、「初めてだから面白かったけど1回でいいかな」と話していたように、これだけでファンサービスとするのは厳しい。飽きさせない次の新たな試みも必要だろう。

　関係者はどうか。最終レースに担当馬が出走した某助手は、「ある程度和らいでいて、強烈な日差しがなかったから自分の体も楽だったけど、馬が全然違う。いつもより楽そうだった」と話すなど歓迎の声は聞かれた。ただ、メインレースに愛馬を送り出した某調教師は「一番消耗の激しいメインレースが普段と変わらない暑い時間に行われる。それじゃあ、変わらないよね。それなら北海道開催を以前のように延ばすとか、パドックに屋根をつけるとか、もっと抜本的に変えないと」と厳しい声も多くあった。

　さらに、「週末の競馬開催だけで暑熱対策と言われても…」(某騎手)の声もあった。馬たちは多くを東西のトレーニングセンターで過ごしている。現在は午前5時から調教が始まるとはいえ、1時間もたてば日が出て強烈な日差しが降り注ぐ。「人馬ともに危険にさらされていることを実感する時がある」(前記某騎手)と開催以外でも暑熱対策は必要と説いた。

　もちろん、今回はあくまでテストケースで試験的に行ったもの。これを受けて、さらに改善され最適な対策が取られていくはず。今後もファンの声はもちろん、現場の声に耳を傾け、広く議論されるべきだろうと思う。(中央競馬担当・松末　守司)

スポーツ報知