いわゆる“ダート改革”の一環として、今年から北海道スプリントCは3歳限定のダートグレードへと生まれ変わった。現役バリバリのJRAオープン古馬相手に、これまで地元勢は如何ともし難かった。その格差がどこまで埋まるのかが最大の関心事である。

　昨年までより出走馬全体のキャリアが少なくなるわけで、両者の実力を比較する材料も決して多くはない。あくまでひとつの仮説だが、試しにモズミギカタアガリという馬を基準にして、今年の実力差を推測してみたい。

　当馬はエーデルワイス賞Vの実績を引っ提げ、3歳になってすぐ門別から中央へ移籍した。移籍緒戦である兵庫CSで3着に入ったのだが、その1、2着馬が、今回参戦するエートラックス、チカッパである。モズミギカタアガリにスタートで大きな不利があったことを考えれば、2頭と同程度の評価が可能だ。また、モズミギカタアガリは先週の大雪HC3着で、古馬3勝クラス上位の実力を証明した。これはエスカルとの比較にも役立つ。

　つまり、門別でモズミギカタアガリと同等以上の強さを見せていた、この世代の地元トップランクの馬であれば、少なくとも現段階のJRA勢とはイメージほど差がないのではなかろうか。

　もうひとつの問題はレース展開である。レースパターンを確立している歴戦の古馬同士の競馬と違い、今年は、それぞれまだ馬体や走りは完成途上で脆さも残す3歳夏のレースだ。ましてや、今回遠征してくるJRA勢は、スピードに物を言わせて実績を上げてきてた馬ばかり。毎度ロケットスタートで快速を飛ばすオスカーブレインの存在も考えると、先行勢はかなりストレスの多い競馬が見込まれる。

　以上を踏まえ、筆者は、地元トップの実績馬で自在性もあるトラジロウを中心視した。もちろん、ほぼ同格のストリームにも勝機が見出せる。JRA勢では、外枠を引いて差しに回れるチカッパが展開的に有利だろう。エートラックスとエスカルは、激しい先行争いを制して自分の競馬に持ち込めるかどうかが浮沈のカギになる。消耗戦を想定すれば、距離短縮で追い込みに徹するヴィヴィアンエイトも穴で魅力的な存在だ。

(文：競馬ブック・板垣祐介)