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【追憶の札幌記念】04年ファインモーション 悩める才女に劇薬…武豊がもたらした名牝最後の輝き

スポニチ
  • 2024年08月14日(水) 06時45分
 管理した伊藤雄二調教師いわく、「才能をビカビカッとまき散らして歩くような馬」だった。ピカピカではない。「ビカビカッ」である。数えきれぬほどの重賞勝ち馬を管理した名調教師に、ここまで言わせる牝馬。それがファインモーションだった。

 その名牝が最後の輝きを放ったのが04年札幌記念だった。デビューから5連勝で秋華賞を制し、6連勝でエリザベス女王杯を手にした才女。エリザベス女王杯の単勝配当は何と120円だった。

 そのスーパー牝馬がスランプに陥る。02年有馬記念(5着)から4連敗。03年阪神牝馬Sは57キロを背負いながらも、意地を見せて白星をつかんだが、次走の安田記念で13着惨敗。メンバーに恵まれた感のあった函館記念でも2着に敗れていた。

 迎えた札幌記念武豊騎手は勝負を懸けた。最後方待機。折り合いをつけ、ファインモーションをひたすらレースに集中させて、最後の爆発力を引き出す。「勇気がいる作戦だが…自分の考えを貫こうと思った」(武豊)。

 11頭立ての最後方11番手。「ファインモーションは最後方を進んでいます」。場内実況にスタンドがどよめく。だが、折り合いは完璧についていた。残り600メートルを切って外から動く。中団の各馬をあっという間にかわして4角5番手。前を照準に入れた。

 「賢く、しっかりと折り合っていたからね。直線を向いた瞬間に勝てると思いましたよ」(伊藤雄師)。ファインモーションはうなるように伸びた。先に抜け出したバランスオブゲームを苦もなく捉える。武豊の左手が上がった。G2では珍しいガッツポーズ。喜びが体を突き動かした。

 「この馬で負けたくない。輝きを取り戻すことができたかな」(武豊)。ファインモーションにとってこれが最後の勝利となったが、札幌記念の歴史に刻まれる素晴らしい輝きだった。

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