周知の通り、ホッカイドウ競馬の2歳重賞戦線は、1200mの
栄冠賞を起点として、性別や距離を異にして路線が分かれていく。この
ブリーダーズゴールドジュニアカップは、世代初の中距離を舞台にした重賞である。一昨年の勝ち馬
ベルピット、昨年の勝ち馬
ブラックバトラーは、ともに後の
JBC2歳優駿で地方馬最先着を果たしており、大一番に直結する重賞として見逃せない一戦だ。
まず注目すべきは、
栄冠賞馬
ベラジオゼロの参戦だろう。デビューから負けなしの3戦3勝で世代の一番星に輝いた馬である。豊かなスピードを生かしての活躍だが、ここ2戦はそれをうまくコントロールして好位から抜け出す戦法を取っており、センスの良さも折り紙付きだ。本質的な距離適性は未知数だが、初のコーナー4つの競馬に対する不安は大きくないだろう。
ただ、やはり2歳中距離戦においては、「経験値」が重要な
ファクターである。既に中距離戦で高レベルの走りを実証しているという点で、
川島洋人厩舎の2頭、
リコースパローと
ソルジャーフィルドには大きなアドバンテージがある。
この2頭のポテンシャルは、いずれも間違いなく重賞級。甲乙はつけがたいが、使うレースを絞って重賞を狙い撃つローテの前者と、キャリアを積ませながら馬を鍛えてきた後者には、先ほどの単なる「距離経験」とはまた違う「実戦経験」の差がある。馬の後ろで砂を被った上で抜け出してきた経験や、スローペースとミドルペースの性質の異なる1700m戦に対応した経験が、
ソルジャーフィルドの強みであるわけだ。
また、前走の1分49秒9という走破タイムは、昨年のこの重賞を凌ぐもの。おそらく
リコースパローもこのタイムでは走れるだろうが、今回に限っては、総合的な経験値で
ソルジャーフィルドに分があるのではないかと見ている。
実績やタイムレベルを考えると、上記3頭が抜けた存在だ。
フークトウフェンという馬も将来性は高そうだが、今月1100mでデビューしたばかりで、大きくは狙いづらい。今回の結果次第では、この先化ける可能性があるだろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)