JRAの短期免許第1号となったL.クロップ騎手が、1994年6月25日に
JRAで初騎乗してから、今年でちょうど30年となる。これまでにのべ70人以上の名手が海の向こうから来日し、日本の競馬を盛り上げてきた。そんな短期免許を取得したジョッキーたちの軌跡とは。
D.レーン騎手は19年に初来日すると、つぎつぎにビッグレースを制して“旋風”を巻き起こした。
レーン騎手は1994年2月6日、豪州の西
オーストラリア州出身。09年に見習い騎手としてデビューし、ほどなくしてヴィクトリア州に拠点を移す。13年には重賞初制覇を果たし、14年には
トラストインアガスト(Trust in a Gust)とのコンビで
インビテーションS(豪G1)に挑みG1初勝利。14/15シーズンは香港でも腕を磨いた。17/18シーズンには日本から移籍した
トーセンスターダムをトゥーラックHC(豪G1)、マッキノンS(豪G1)で白星に導き、ヴィクトリア州
メトロポリタンの騎手ランキングで2位に躍進する。
19年3月には豪州4大レースのひとつ、
ゴールデンスリッパーS(豪G1)にも勝利するなど、着実に実績を積み上げていたが、日本での知名度は決して高くなかった。だが、同年4月に初来日すると、ファンや関係者の度肝を抜く活躍。短期免許での騎乗2日目の
新潟大賞典で
JRA重賞初制覇を飾ると、その後も
ノームコアでヴィクトリアM、
リスグラシューで
宝塚記念を制覇。さらに
地方競馬の短期免許も取得して、
JRAの
オメガパフュームで
帝王賞を制す。約2カ月の滞在期間で重賞7勝を含む38勝(地方含む)を挙げ、各社の見出しには「レーン旋風」の文字が踊った。
強いインパクトを残して帰国したレーン騎手だったが、自国でも勢いはとどまるところを知らず。同年秋には
メールドグラースで
コーフィールドC(豪G1)、
リスグラシューで
コックスプレート(豪G1)を勝ち、日本馬に海外G1タイトルをもたらした。
リスグラシューは続く
有馬記念でラストランを予定していたが、レーン騎手は免許期間を使い切っており、本来なら騎乗は不可能。しかし、矢作師が
JRAに働きかけたこともあり、1日限定の免許が特例で発効されることになった。後押しを受けたレーン騎手は
アーモンドアイら豪華メンバー相手に5馬身差の圧勝を飾り、春秋
グランプリ制覇を達成。有終の美を飾るのにひと役買った。
その後も20年、22年、23年、24年に短期免許を取得し、これまでに積み上げた白星は地方含めて「149」に達する。昨年は
タスティエーラでの
日本ダービー制覇もあった。すっかり日本のファンや関係者に愛される存在になった“
ナイスガイ”。先週末もWASJ出場のため来日すると、日曜メインの
キーンランドCを
サトノレーヴで制覇した。レーン旋風はこれからも続きそうだ。