JRAの短期免許第1号となったL.クロップ騎手が、1994年6月25日に
JRAで初騎乗してから、今年でちょうど30年となる。これまでにのべ70人以上の名手が海の向こうから来日し、日本の競馬を盛り上げてきた。そんな短期免許を取得したジョッキーたちの軌跡とは。
M.ミシェル騎手は19年の
ワールドオールスタージョッキーズで初来日すると、“美しすぎるジョッキー”などと話題に。
JRAでの取得はないが、20年には
地方競馬で短期免許を初取得した。
ミシェル騎手は95年7月15日、フランス南部ヴァール県の
イエール出身。競馬と縁のない家庭で生まれ育ったが、友人をきっかけに幼少期から乗馬を始め、14年にジョッキーとしてデビューした。落馬負傷で1年半にわたり戦線離脱を余儀なくされたこともあったが、17年に女性騎手に対する減量特典がスタートしたことや、エージェントと契約したことで状況が好転。同年に17勝を挙げ、翌年には72勝と大きく飛躍する。同国における女性騎手の最多勝利記録を大幅に更新し、その活躍ぶりは「
トルネード」と称された。
とはいえ、日本での知名度はまだそれほど高くなかった。転機になったのは、19年8月の
ワールドオールスタージョッキーズ。同シリーズで来日が決定すると、さっそく“美しすぎる騎手”などと話題となったが、手綱さばきでも魅せた。第1戦は7番人気の
ウォーターエデンで5着、第2戦は12番人気の
ドゥーカで4着とあわやのシーンを演出する。翌日に行われた第3戦のダ1700m戦では、3番人気の
スワーヴアラミスで
JRA初勝利。第4戦は14番人気の
エニグマバリエートで10着と、終わってみれば4戦すべてで人気以上の着順に導いた。53ポイントを獲得して、K.ティータン騎手と並ぶ総合3位入賞。日本のファンや関係者にも、一躍知られた存在になった。
20年には
地方競馬で短期免許を取得。川崎・
山崎裕也厩舎に籍を置き、南関東競馬を中心に約3カ月間で267戦30勝の成績を残した。これは同地区における短期免許取得外国人ジョッキーの最多勝記録。帰国後も世界を舞台に活躍し、22年5月から米国・ケンタッキー州、今年から豪州に拠点を置いている。
ミシェル騎手は
JRAの短期免許、通年免許取得を目指していることがたびたび報じられている。その“夢”が叶った際には、再びキュートな笑顔と、強気な手綱さばきでファンを釘付けにしてくれるはずだ。