春無冠に終わった素質馬が真価を発揮した。
菊花賞トライアル「第78回
セントライト記念」が16日、中山競馬場で行われ、2番人気の
アーバンシックが中団インから抜け出し重賞初制覇。2着
コスモキュランダ、3着
エコロヴァルツまでが
菊花賞(10月20日、京都)への優先出走権を獲得した。
皐月賞4着、ダービー11着からの反撃。
アーバンシックが春のクラシック路線をにぎわせた3頭の激戦を制した。手綱を取ったルメールはこの日5勝の“固め打ち”。「能力はあると思っていた。秋から大人になっていましたね。ジワジワ伸びる馬ですが、今回は力がついていたので外に出してからすぐ
ギアアップしてくれた。最後も凄くいい脚」と手放しで相棒を称えた。
初タッグを組んだ名手の完璧なエスコートが光った。道中は終始、中団インで折り合い専念。有力馬が進出した4角もまだ我慢する。前が空いた直線入り口でついにエンジン点火。粘り込む
エコロヴァルツをあっさりかわすと、急坂の上で
コスモキュランダを捉え切った。
外から剛脚で追い込む
スタイルから一転、この日はポジションを確保しながらロスのない立ち回り。“新味”を引き出せた鍵は精神面の成長だった。「元々、凄いパフォーマンスができる馬だと分かっていたが、どうしても競馬が上手ではなくて。うまく力を出し切れていなかった」と武井師。ひと夏を越えて「馬が成長して、ジョッキーもうまく乗ってくれた。(メンタルが)ダービーの頃は2歳馬くらいだったんだけど、今は2、3歳の間くらいにはなっている。ゆっくりだけど着実に成長している」。心身の
バランスが向上し、好結果に結びついた。
最高の形で
菊花賞への優先出走権を獲得。淀の3000メートルという条件にもルメールは「距離は持つと思う。まだ良くなりそうだからチャンスはあると思う」とキッパリ。今後について指揮官は「状態などを踏まえて正式に決定していければ」とした上で、「次はいずれにしてもG1だと思うが、もっといいパフォーマンスを見せられるはず」と力を込めた。初タイトルを手にしても、まだまだ伸びしろ十分な
アーバンシック。秋の中山から逆襲の物語が始まった。
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アーバンシック 父
スワーヴリチャード 母エッジースタイル(母の父
ハービンジャー)21年3月16日生まれ 牡3歳 美浦・武井厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績6戦3勝(重賞初制覇) 総獲得賞金1億1922万8000円 馬名の由来は、洗練された(母名より連想)。
スポニチ