◆第78回
セントライト記念・G2(9月16日、中山競馬場・芝2200メートル、良)
菊花賞トライアルの第78回
セントライト記念・G2は16日、中山競馬場で行われ、2番人気の
アーバンシック(ルメール)が鋭い末脚で、1番人気で
皐月賞2着馬の
コスモキュランダを差し切り、重賞初制覇を飾った。春からの成長を見せつけた
スワーヴリチャード産駒の次走は同世代の3冠最終戦か、古馬への挑戦か、注目される。3着の
エコロヴァルツまで
菊花賞優先出走権を得た。
力でねじ伏せる完勝劇だった。
アーバンシックが末脚を爆発させ、
皐月賞2着馬を置き去りにするハイパフォーマンスを披露。春は
皐月賞4着、
日本ダービー11着と悔しさにまみれたが、初のタイトルをゲットし、反撃ののろしを上げた。初コンビだったルメールは「ダービーを使ったので、絶対に能力があると思っていた。自信がありました」と笑顔を浮かべた。
リーディングジョッキーの手腕が光った。1番枠で発馬後、内に寄れて後手を引いた。道中も中団の内で厳しい位置取りに見えたが、7番手で迎えた直線だ。外にいた馬が前に上がっていき、空いた外側に迷わず導くと、一瞬でトップスピードに。先に抜け出した
コスモキュランダに襲いかかり、1馬身3/4差をつけてゴールした。鞍上は「直線で外に出してから
ギアアップしたし、最後はすごくいい脚を使ってくれた」と、上がり最速34秒0の末脚に満足げだった。
馬の成長も見逃せない。以前は調教中、乗り手を替えると駄々をこねたが、夏を越すと乗り手を選ぶことなく順調に調整を重ねられた。武井調教師は「ダービーの頃は2歳馬くらい。今は2歳と3歳の間くらいにはなった。着実に成長している」と表現。高い能力に加え、精神面で成長したことで心身の
バランスが整い、結果につながった。
3冠最終戦への権利は取ったが、今後は未定。
菊花賞、古馬G1などを見据え、様々な状況を判断し決められる。「暑さに弱いし、ダービーの頃よりは毛づやが良くなかった。次はG1になると思うけど、もっといいパフォーマンスを見せられるんじゃないかな」とトレーナー。ダービー2着だった父
スワーヴリチャードは4、5歳時にG1制覇した遅咲き。伸びしろ十分の素質馬が大舞台へ堂々、乗り込んでいく。(松末 守司)
◆
アーバンシック 父
スワーヴリチャード、
母エッジースタイル(父
ハービンジャー)。美浦・
武井亮厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算6戦3勝。総獲得賞金は1億1922万8000円。重賞初勝利。馬主は(有)シルクレーシング。
スポーツ報知