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【追憶のオールカマー】97年メジロドーベル 同じ轍は踏まぬ…行きたがって逃げ切った強烈3歳牝馬

スポニチ
  • 2024年09月18日(水) 11時13分
 長く競馬を見てきた筆者としても衝撃のあったレースの一つだ。97年オールカマーを制したのは3歳牝馬メジロドーベル。3歳牝馬の優勝は33年ぶり3頭目。同馬を最後に3歳牝馬の出走はなく、堂々たる金字塔となっている。

 レースぶりは圧巻だった。ゲートが開いた瞬間に首を上げ、やや出負けしたメジロドーベル。前を行く馬たちのあまりの遅さに嫌気が差したのか、1コーナー手前からぐんぐん加速。外から抑え切れない勢いで先頭に立ってしまった。

 ファンの頭には、あるレースがよぎった。メジロドーベルが3着に失速したチューリップ賞。前半のあまりに遅い流れに口を割り、頭を何度も上げて抵抗し、折り合いを欠いた。あの時の二の舞になってしまうのか…。

 しかし、吉田豊騎手は慌てていなかった。「先頭に立ったら、うまくハミが抜けた。もうこれで大丈夫と思った」

 ドーベルは失速すると判断したであろう後続が4角でひたひたと迫る。しかし、吉田豊の手応えは絶好だ。ホウエイコスモスを振り切る。インから迫ったバーボンカントリーを左ムチ一発で退けた。坂上で追い上げたヤシマソブリンも寄せ付けない。3歳牝馬、完勝だ。

 直線からゴールまで、改めてVTRを確認すると手前(軸脚)も替えていない。元々の能力が全く違ったということだ。

 「秋華賞は京都の内回りだからね。前でも競馬ができたことは収穫」。次走も見据えていた吉田豊の言葉に報道陣は深く納得した。

 大久保洋吉師は「抑え切れない時はハナを切る競馬も頭にはあった。いい意味でファイティングスピリットにあふれていた」と話し、想定内の競馬であったことを明かした。

 この勝ちっぷりに度肝を抜かれたか、秋華賞は単勝1・7倍の圧倒的1番人気に支持され、2馬身半差の快勝を収めた。

 西高東低の時代に現れた、関東の強豪牝馬メジロドーベル。その後もエリザベス女王杯を連覇(98、99年)するなど、吉田豊とともに秋の京都で輝き続けた。

スポニチ

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