武豊騎手が独G1・ベルリン大賞覇者の
アルリファー(
Al Riffa)で、悲願の
凱旋門賞(3歳上牡牝・GI・芝2400m)の初制覇に挑む。そこで過去10回の参戦の中から、印象的なレースを振り返りたい。
まずは94年の
ホワイトマズルだ。当時25歳の鞍上に、社台
ファームの吉田照哉代表が所有する欧州の大物の騎乗依頼が届いた。前年の
凱旋門賞の2着馬。7月の
キングジョージVI世&クイーンエリザベス
ダイヤモンドSでは初めて騎乗し、2着に健闘していた。しかし、当日は3番人気に支持されながら6着に終わった。
06年には史上最強馬の呼び声が高い
ディープインパクトで大本命に推された。現地に駆け付けた日本人ファンが馬券を買い込んだこともあって、単勝オッズは1.5倍。しかし、レースではまさかの光景が待っていた。好スタートからいつもの後方待機策ではなく、2〜3番手で追走。それもしきりに行きたがってのものだった。残り400mで早くも先頭に立ったが、ゴール前で上位2頭にかわされて3位入線。さらには後日、
凱旋門賞の後の理化学検査で禁止薬物が検出されたことが発表されて、失格となった。
そして13年には
ディープインパクトの産駒であり、同年の
日本ダービー馬の
キズナで参戦した。レースは理想的な形で運べたが、上位には完敗の4着。また、21年と22年には
アルリファーと同じく松島オーナーの所有するブルーム(Broome)、
ドウデュースで参戦したが、それぞれ11着、19着に大敗している。
11回目のチャレンジとなる今年はどんなレースを見せてくれるのか。日本が誇るレジェンドの、こん身の手綱捌きに注目したい。