「伝説のラストラン」となっている90年の
有馬記念など、多くの名勝負を繰り広げた
オグリキャップだが、GI以外にも印象に残るレースは数多くある。中でも89年の
毎日王冠は息詰まる熱戦だった。人気のGIウイナー2頭の叩き合いで写真判定に持ち込まれた一戦を振り返る。
前年の4歳時、
オグリキャップは当時の
JRA重賞連勝記録となる6連勝で
毎日王冠を制した。そして翌年の5歳時も秋初戦の
オールカマーを快勝してから
毎日王冠に向かった。単勝は1.4倍の圧倒的1番人気。2番人気は前走の高松宮杯を制した
メジロアルダンで2.9倍。3番人気は
天皇賞(春)と
宝塚記念を連勝中の
イナリワンで9.0倍。多くのファンは連覇を信じていたが、そう簡単には事が運ばなかった。
レースは大方の予想通り、
レジェンドテイオーの逃げで幕を開けた。3番手に
メジロアルダン。
オグリキャップは中団。
イナリワンはこれをマークするような位置取りとなった。迎えた直線、
メジロアルダンが手応え良く先頭に並びかける。大外から
オグリキャップ。この2頭の真ん中から
イナリワンが脚を伸ばす。残り100mで3頭の馬体が並んだが、勢いはGI馬の2頭が上だ。内の
イナリワンと柴田政人、外の
オグリキャップと南井克巳。壮絶な叩き合いは僅かにハナ差、
オグリキャップと南井克巳に凱歌が上がった。
オグリキャップは次走の
天皇賞(秋)で
スーパークリークの2着に敗れたものの、
マイルCSで
バンブーメモリーとの激闘を制し、2つ目のGIタイトルを獲得。そこから連闘で挑んだ
ジャパンCでも
ホーリックスからクビ差の2着となり、多くのファンを熱狂させた。一方の
イナリワンは
天皇賞(秋)で6着、
ジャパンCで11着と崩れたものの、
有馬記念で復活のGI・3勝目。この年の
年度代表馬に選ばれることとなった。
※文中の年齢表記はレース当時の旧齢表記になっております。