08年の
秋華賞は歴史的な波乱となった。1着は11番人気の
ブラックエンブレム、2着は8番人気の
ムードインディゴ、3着は16番人気の
プロヴィナージュで決着。3連単は当時のGI史上最高配当となる1098万2020円だった。そんな一戦を回想したい。
レース前から混戦模様だった。1番人気は3.6倍で
オークス馬の
トールポピー、2番人気は4.0倍で
桜花賞馬の
レジネッタ。単勝オッズ1桁台は2頭のみ。しかし、前哨戦の
ローズSではそれぞれ6着、3着に敗退しており、決して2強ムードではなかった。
レースは
エアパスカルの逃げで幕を開けた。そして向正面では
プロヴィナージュが先頭へ。前半1000mは58秒6だから、やや速めの流れだ。中団から後方で脚をためる
トールポピーや
レジネッタには悪くない展開に思えた。ところがレース終盤、多くのファンが想像していない光景が待っていた。16番人気の
プロヴィナージュが粘りに粘る。後続はどうか。人気馬の脚色はさえない。残り200mを切って内から伸びてきたのは11番人気の
ブラックエンブレム、さらには外から8番人気の
ムードインディゴが迫ってくる。最後は
ブラックエンブレムが
ムードインディゴの追い上げを半馬身抑え、先頭でゴール。馬単の5万2130円、3連複の186万9680円、3連単は1098万2020円と同年
桜花賞の700万2920円を超える額をたたき出した。これらは、いずれも未だにレース史上最高配当となっている。
ブラックエンブレムは春の
フラワーCで重賞ウイナーの仲間入りを果たしたが、栗東滞在の
桜花賞が10着、
オークスが4着と涙を飲んでいた。そして再び栗東滞在で臨んだ秋初戦の
ローズSも15着。忘れ去られた存在になりかけていたが、陣営が綿密なケアを施し、立て直しに成功。ようやくつかんだ悲願のGIタイトルだった。