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凱旋門賞・G1(10月6日、仏パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)
世界を飛び回り、研さんを重ねている。
JRA初の女性調教師となった前川技術調教師は今年、研修先である矢作厩舎の海外遠征に全て帯同。サウジアラビア、ドバイ、アメリカ、アイルランド。そして
シンエンペラーの
凱旋門賞挑戦を見届けるべく、今週からフランスに渡った。「矢作先生のおかげです」とほほ笑む。
シンエンペラーが前哨戦として臨んだアイリッシュチャンピオンSは、レース前日に現地入り。米国のキーンランドセプテンバーセールに参加した後に直接渡航という強行軍だったが、経験値を高めるためだ。今回の
シンエンペラーについても「具合は良くなってきているみたいですよ」と、本番への期待も込める。
初めてフランスに行ったのは17年の欧州研修。その際に訪れたイギリス・ニューマーケットでは、運命的な出会いがあった。もともと調教師を目指していたが、従業員に責任を持つ厳しさなどを目の当たりし、当時は受験を諦めかけていた。ロジャー・ヴェリアン調教師の妻で、日本人の花子さんにその思いを話すと、「気楽に受けたらいいじゃん」と返された。「転機がありましたね」。今年は技術調教師の立場で、欧州の地を踏んでいる。
開業まであと5か月。「矢作厩舎みたいに、垣根がない厩舎が必要だなと思います」と理想を描く。もちろん、海外挑戦も夢の一つ。「早いうちに、この経験を忘れないうちに行きたいですね」。今回のフランス遠征でも、全てを吸収して糧にする。(水納 愛美)
スポーツ報知