いわゆる「ダート改革」の一環として、昨年から全国各
地方競馬場に「
ネクストスター」競走が新設された。記念すべき第1回
ネクストスター門別には、短距離重賞の勝ち馬が4頭参戦し、さながらス
プリント路線の世代頂上決戦という様相になっていた。
しかし、一転して今年は、出走12頭に重賞V歴のある馬はおらず、まったく趣が異なっている。当然ながら、昨年よりも予想の難しい混戦模様だ。大まかに言うと、重賞での経験値を重視するか、上がり馬の勢いを重視するかがポイントだろう。
重賞経験という意味で、最も参考にしやすいのはサッポロクラシックカップである。先行勢がオーバーペースを作り出し、じっくり構えていた
イイデマイヒメが直線一気に差し切ったレースだ。その中で逃げて2着に粘り込んだ
ベラジオドリームは大したもの。当時は内枠から飛び出して、引くに引けない競り合いになってしまったが、今回の枠順なら、2走前のように追っての反応を生かす形も取れるはずだ。
一方、
ベラジオドリームとの競り合いの末にバテてしまったのが
サウンドバッハだ。その後遺症を払拭するために、前走のオープン戦では折り合い重視の競馬を試みた。結果は5着だったものの、脚質転換のきっかけを掴む競馬であったのは確かだ。デビュー戦の圧倒的な内容からも、能力は足りる。ここで一皮むける可能性はある。
展開に乗じて3着に追い込んだ
ミラクルヴォイス、やや流れに乗りすぎた気合のある4着
ジュゲムーンともども、激しいレースだったサッポロクラシックカップ組の経験値は評価したい。
重賞未経験の上がり馬では、
エターナルウインドと
ワンダーウーマンの2頭が有力だ。前者は特に、初めての1200m戦だった前走内容が優秀である。走破タイムの1分13秒9は重賞で十分に通用するレベルだ。ここまでの4戦はすべて逃げて競馬しており、同型馬との兼ね合いは鍵だが、決して一本調子のタイプではない。後者は
スピーディキックの妹だけあって、似たような成長曲線を描いている。ここで勝ち負けになるようだと、
エーデルワイス賞の姉妹制覇も現実味を帯びてくるだろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)