◆第103回
凱旋門賞・G1(10月6日、パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)
日本調教馬として唯一出走する
シンエンペラー(牡3歳、栗東・
矢作芳人厩舎、父
シユーニ)の矢作調教師と
坂井瑠星騎手(27)=栗東・矢作厩舎=が4日、現地で公式会見に臨んだ。
―3日に現地入りしましたね。4日朝に見た
シンエンペラーの感じは?
矢作師「アイルランドを使った後、非常に良くなって、馬体も非常に
フィットしているなと感じました」
―4日朝の馬場状態は重馬場で、レース当日も恐らく同じだが。
矢作師「馬場は把握してますけど、彼の走り方からこの馬場は向いていると思って連れてきたので、ソフトな馬場に関しては今までの日本馬とは違うと考えています」
―22年アルカナ社のセールで購入。210万ユーロ、当時のレートで約3億円だった。
矢作師「そのセールでの最高価格。私はセリですべての馬を見ますけど、この馬1頭が飛び抜けていた。どうしてもほしかった馬ですし、オーナーにも話して、手に入れられたことはラッキーだったと思っています」
。 ―2度目の
凱旋門賞。前回と比べて。
矢作師「2年前の
ステイフーリッシュと比べて圧倒的にチャンスが大きいと思っています。馬場の適性が高いためです」
―G1にまだ勝っていない馬を連れてきたにもかかわらず、アイルランドでの前走は今までの日本馬にない走りをしており、多くの人が勝利の可能性が高いと思っています。
矢作師「アイルランドではまだ馬の状態が上がりきっていないなかで、あのメンバーとの戦いは正直厳しいと思っていましたので、3着という結果には満足しています」
―アイルランドの後の準備はいかがでしたか?
矢作師「馬場も良くてそれほど大きな負担にならなかったので、それほど疲れもなかった。すぐに
凱旋門賞に向けて立ち上げることができました。順調に状態は上がっていると思います」
―厳しい調教ですか? 休養するようなですか?
矢作師「どちらでもなく
バランスを取って、先週の金曜日に厳しい調教を行い、今週は割と
リラックスさせるような調教で競馬に臨もうと思っています」
―坂井騎手にお聞きします。既にフランスで何度も走っているし、最初のレースで勝利を収めていると思いますが。
坂井瑠星騎手「初めてのレースは清水(裕夫)調教師に素晴らしい馬を用意していただいて、勝てました」
―今回は最高の調教師、最高の馬のコンビで来ましたから勝てますよね?
坂井騎手「もちろん、勝つために来ました」
―アイルランドでのレースの展開は厳しかったと思います。
坂井騎手「非常に厳しいレースでしたけど、
凱旋門賞もそのような厳しいレースになると思いますし、あのレース当時の馬のコンディション考えても、人馬ともに色々な経験ができて悪くないレースだったと思います」
―
凱旋門賞では11番ゲートになりましたが。
坂井騎手「『1』が2つ並んでいるのでいいんじゃないかと思います」
―これから最初の挑戦になります。準備について聞きたい。
坂井騎手「もちろん、過去のレースもたくさん見ましたし、ゲームでもたくさん(
凱旋門賞を)やったので初めてと思っていないです(笑い)。まだ(レースまで)時間があるのでこれからもっと準備したいです」
―10月2日に
ジャパンダートクラシックを
フォーエバーヤングで制した。
矢作師「
フォーエバーヤングの方が緊張していました。結果も出せましたし、今回は楽しく
ウキウキしながらレースに臨もうと思います」
坂井騎手「負けたら飛行機に乗るのも嫌だと思っていたので勝てて良かったです」
―2人にとって
凱旋門賞とは?
矢作師「皆が
凱旋門賞と言うので最近、熱が冷めかけていますけど、(日本では)50年前から、目標にしてきたレースなのでそのころのことを思うと感慨深いです」
坂井騎手「僕にとってももちろん、まだ日本の馬が勝ったことがないレースですし、(日本の)ホースマンにとっての夢。その舞台に矢作先生と一緒に立てるのがうれしいです」
―相手関係について。
矢作師「混戦という言葉がぴったりかな。飛び抜けた馬はいない。有力な馬がすごく多くて1頭に絞れない。勝つためには運も必要かなと思っています」
坂井騎手「混戦だと思いますし、その日の天気だったり枠や馬場だったり、すべてがかみ合った馬が勝つのかなと思っています」
―今回は日本から唯一の参戦となる。
矢作師「簡単なレースではないと言うことは感じています。この馬を買った時に
凱旋門賞に連れて帰ってくるんだと思い、実際に
凱旋門賞に来たというのは奇跡的な確率だと思っています。それも有力馬として、奇跡的なことを成し遂げたオーナー、調教師、騎手だからこそチャンスがあると思っています。全力で頑張ります」
坂井騎手「前走後は順調に来れている。あとは僕がしっかり乗るだけだと思いますので、応援していただけたらと思います」
―既に世界中で大きなレースを勝っていますが、それでも
凱旋門賞を勝ちたいのですか?
矢作師「現実に私はヨーロッパで勝ったことがないので、究極に難しいレースだと思いますけど、だからこそ挑戦する価値があると思っています」
―どうして難しいのでしょうか?
矢作師「私が聞きたいです(笑い)」
―それでも理由をお聞きしたい。
矢作師「やはりヨーロッパの馬しか勝ったことがないですし、この距離は一番強い馬がそろうというメンバーレベル。今までの日本の馬には難しかった馬場状態。ポイントはその2つかなと思っています」
―もし勝ったら日本での生活は大きく変わりますか?
矢作師「そう大きくは変わらないと思うんですけど、もしかすると普通に電車に乗れなくなるかもしれませんね」
坂井騎手「日本に住んでるフランス人から人気が出るかもしれません」
シンエンペラーは前哨戦となった前走のアイリッシュチャンピオンSで3着に入り、英ブックメーカーの4日のオッズで4番人気に支持されている。日本勢初の快挙に向けて順調な調整を続けている。
スポーツ報知