今年の
天皇賞(秋)はGI馬6頭が参戦し豪華メンバーと言われているが、19年も負けず劣らずレース史に残る好メンバーだった。圧倒的な1番人気に応えて圧勝した
アーモンドアイを筆頭に、レース史上最多となる10頭のGI勝ち馬が参戦。重賞勝ち馬は15頭にも上った。また、前年の3冠牝馬VS同年の
皐月賞馬という構図でもあった。そんな5年前の一戦を振り返りたい。
主役は単勝1.6倍の支持を受けたGI・5勝馬・
アーモンドアイだった。前走の
安田記念で3着に敗れ、連勝は7でストップしたが、敗因はスタート直後のアク
シデントと明らか。多くのファンは絶大なる信頼を置いていた。ただ、この名牝だけが大物だったわけではなく、2番手以降にも役者は揃っていた。2番人気は
皐月賞を制し、3歳最強の評価を得ていた
サートゥルナーリア。以下、2年前の2歳王者の
ダノンプレミアム、前年の
日本ダービー馬の
ワグネリアン、同じく
大阪杯覇者の
スワーヴリチャードと人気は続いた。名前を見るだけで、いかに豪華メンバーだったか、お分かりいただけるだろう。
レースは
アエロリットと
戸崎圭太騎手がゆったりとしたペースを刻んだ。前半1000mは59秒0のスロー。これが誤算だったのがサーゥルナーリアだ。C.スミヨン騎手が何とか抑えようとするが、力みが取れない。対照的に
アーモンドアイは先団インでスムーズな追走。その外に
ダノンプレミアムが付けて、
ワグネリアンと
スワーヴリチャードは中団で脚をためた。勝負の直線、
アーモンドアイと
ルメール騎手はラチ沿いに進路を取った。逃げ粘る
アエロリット、抜け出しを図る
ダノンプレミアムをかわして先頭へ。一方の後続はどうか。
サートゥルナーリアは道中のロスが響いて息切れ。ゴール前で金子真人オーナー&友道厩舎の2頭、
ユーキャンスマイルと
ワグネリアンが追い上げてきたが、時既に遅し。
アーモンドアイが大接戦の2着争いを3馬身差も突き放し、危なげなく6つ目のGIタイトルを獲得したのだった。
勝ち時計の1分56秒2は、11年の
天皇賞(秋)で
トーセンジョーダンが記録した1分56秒1のコースレコードに迫るもの。スローペースを考慮すれば、驚異的な時計だった。
アーモンドアイが獲得した9つのGIの中では、そこまで多く語られるレースではないかもしれないが、実はとてつもなく強いレースだったことを覚えておいていただきたい。