JRAの現役に18頭しかいない青森産馬の
ハヤテノフクノスケ(牡3、栗東・
中村直也厩舎)が、
菊花賞(3歳牡牝・GI・芝3000m)でGI初挑戦を果たす。
ハヤテノフクノスケは父
ウインバリアシオン、
母サクラインスパイア、母の
父シンボリクリスエスの血統。生産者は青森県のワールド
ファーム。5代母は名繁殖牝馬の
スワンズウッドグローヴなので、古くは88年の
日本ダービー覇者の
サクラチヨノオーや同年の朝日杯3歳Sを制した
サクラホクトオー、近年の活躍馬でいえば
サクラトゥジュールや
ラッキードリームと同じ牝系の出身となる。
ここまで8戦2勝。昨年11月の新馬(京都芝2000m)は
ミスタージーティーの末脚に屈して2着だったが、続く未勝利(京都芝2000m)を5馬身差で圧勝。その後は3連敗を喫したが、3走前の1勝クラス(札幌芝2000m)で待望の2勝目を手にした。昇級後も4着、2着と手堅くまとめているので、着実に力をつけていることは間違いない。
青森産馬の
菊花賞といえば、76年の
グリーングラスが思い出される。
皐月賞馬の
トウショウボーイが単勝2.3倍の1番人気。
日本ダービー馬の
クライムカイザーが5.6倍で2番人気。
テンポイントが13.4倍で3番人気。条件クラスを勝ったばかりで、滑り込みでゲートインが叶った
グリーングラスは71.1倍の12番人気に過ぎなかった。
しかし競馬はやってみるまで分からない。
トウショウボーイと
テンポイントは好スタートを決めて先行策。この2頭を見るように、
グリーングラスは内で脚をためた。2周目の3角からの坂の下りで
トウショウボーイと
テンポイントが外から前に出て、そのまま直線へ。多くのファンが2頭のマッチレースになると思った瞬間、最内から脚を伸ばしたのが
グリーングラスだった。道悪を苦にせずに抜け出すと、外で食い下がる
テンポイントを2馬身半抑えて先頭でゴール。当時29歳の安田富男騎手の好騎乗も光る一戦だった。
あれから48年、青森産馬の活躍はめっきり減った。
JRAのGI制覇は01年の阪神JFの
タムロチェリーが最後。地方では
キョウエイギア、
サルサディオーネなどがビッグレースを制しているが、中央では北海道組に圧倒されている。ここで「期待の星」
ハヤテノフクノスケが大金星を手にすることができるか。一気の相手強化となるので楽ではないが、果敢なチャレンジに是非ともエールを送りたい。