担当記者が出走馬の陣営に聞きたかった質問をぶつけて本音に迫る水曜企画「G1追Q探Q!」。牝馬3冠最終戦「第29回
秋華賞」は東京本社・鈴木悠貴(33)が担当する。今回は
コガネノソラに騎乗する
丹内祐次(38)を徹底取材。近年の好調の要因に迫りながら、同期に続くG1初制覇への思いを聞いた。
今年はここまで59勝。キャリアハイ64勝を挙げた22年を超えるペースで白星を重ねている。好調の根底にあるのは騎乗数の多さ。一昨年は804鞍に騎乗し、昨年は862鞍。今年はここまで、2位の西村淳(664鞍)より81も多い745鞍でトップ。開催日あたり9鞍に騎乗している計算になる。「いろいろな特徴を持つ馬に数多く乗せてもらってきた。だから落ち着いていて余裕がある。自分の思った通りに乗れている」。積み重ねた経験こそが好循環を生んでいる。
今年59勝中48勝が直線の短い競馬場(札幌、函館、福島、中山、小倉)。末脚一気では勝ち負けできない小回りコースでの攻略法を丹内は熟知している。「馬場、展開、他のジョッキーの動き方を考えながら“どこにいれば勝てるのか”を予想する。位置取りには自信を持っているよ。あと大事なのはリカバリー力。減量がある若手ジョッキーがたくさんいる中でのレースは想像通りにはいかないこともたくさんある。それを瞬時の判断でどうさばいていくかだね」。
秋華賞の舞台は直線短い京都内回り。「
コガネノソラは癖もないし乗りやすい馬。コースは合っていると思う」。円熟味のある華麗なエスコートを見せてくれるに違いない。
丹内は競馬学校20期生。同期の活躍が励みになっている。川田は
NHKマイルC(
ジャンタルマンタル)を快勝し、藤岡は
フェブラリーS(
ペプチドナイル)で波乱演出V。津村は
ヴィクトリアマイル(
テンハッピーローズ)で涙の初G1制覇を飾った。「津村の時はうれしくて、僕は新潟にいたんだけど(開催後)すぐにLINEを送っちゃったよ。僕は競馬学校時代からずっと優秀な同期たちを追いかける立場。必死に食らいついていきます」。地に足を着け一歩ずつ成長してきた21年。心技体がかみ合った今なら、盟友に続く初戴冠は決して夢ではないはずだ。
◇丹内 祐次(たんない・ゆうじ)1985年(昭60)11月5日生まれ、北海道函館市出身の38歳。函館競馬場の近くで生まれ育ち、騎手を志す。04年デビュー。同年4月10日福島2R(
スピードタイガー)で初勝利。
JRA通算1万1444戦532勝(重賞6勝)。
【取材後記】今年のG1を振り返ると“ある法則”が浮かび上がる。
フェブラリーS(藤岡)、
高松宮記念(坂井)、
大阪杯(横山和)、
桜花賞(モレイラ)、
中山グランドジャンプ(黒岩)、
皐月賞(戸崎)、
天皇賞・春(菱田)、
NHKマイルC(川田)、
ヴィクトリアマイル(津村)、
オークス(ルメール)、ダービー(横山典)、
安田記念(マク
ドナルド)、
宝塚記念(菅原明)、
スプリンターズS(西村淳)。奇跡的に勝利ジョッキーがかぶっていない。
また、G1初勝利も菱田、津村、菅原明、西村淳の4人と多数。この法則に従えば「なんとか勝てたらいいね。勝ったら盛大にお祝いしてください」と悲願成就を期す丹内にも十分チャンスが巡ってくる。
スポニチ