先週末、青森で繋養されている種牡馬たちに会ってきた。今年も30頭を超える種付けをこなした
ウインバリアシオンと、
ウォーエンブレムの貴重な後継である
オールブラッシュの2頭は、荒谷牧場で元気に過ごしている。
ウインバリアシオン5世代目の産駒となる
ハヤテノフクノスケ(牡3歳、栗東・中村厩舎)は、
菊花賞に出走予定。
京成杯で
ダノンデサイルから0秒2差の4着に健闘し、父譲りと言える堅実なレースぶりから、ビッグレースでの激走が期待される。
オールブラッシュは、初年度産駒が今年デビュー。7頭と少ない生産頭数の中から、自身が交流G1勝ちを果たした川崎で、
イカホノケン(牡2歳、川崎・山崎裕厩舎)が3戦目で初勝利を挙げ、ハイレベルの北海道では
ディープオーキッド(牡2歳、北海道・五十嵐厩舎)が5戦目で勝ち上がり、すでに浦和・藪口厩舎へ移籍している。
JBBA七戸種馬場は、
クリエイター2とアルデ
バラン2の2頭がいる。アルデ
バラン2は17年から七戸に移動し、26歳を迎えても元気いっぱい。近年では南関東の短距離重賞を2勝し、交流重賞でも活躍している
ギシギシなどを送り出すなど、長きに渡って青森の馬産を支えている。
そして、青森市の市街地から約6キロと近い場所にある青森ホース
ファームには、18年
目黒記念を制した
ウインテンダネスと、岩手で重賞を2勝した
オールザベストが繋養されている。
ウインテンダネスは
カンパニー産駒で、今や希少となった
トニービンの父系。青森ホース
ファームの大森友也代表は「
ウインテンダネスは、一口クラブの馬だったこともあるんでしょうが、見学の問い合わせなど大変な人気ぶりです。今年から種牡馬となり、自分の繁殖牝馬2頭つけましたが、牝馬が高齢ということもあり、どちらも不受胎でした」と話す。
また、
オールザベストはスペイツタウン産駒で、国内では
マテラスカイが10歳で今年6月に死んだため、スペイツタウンの直子は新冠の白馬牧場で今年から繋養(けいよう)された
フルフラットと、この
オールザベストのみ。その父系だと、初年度産駒が来年デビューの
フィレンツェファイアがおり、今年の北海道市場でも人気を博している。
オールザベストは預託種牡馬だが、今年は3頭が受胎し、1頭は岩手にいる繁殖牝馬とのこと。無事に産まれると、15年以来10年ぶりの岩手県産馬となる。
かつては
マツミドリや
ダイゴホマレなど、7頭の
日本ダービー馬を送り出した青森の馬産だが、12年以降は80頭前後の生産頭数まで落ち込んでいる。ただ、20年に
ミライヘノツバサが
ダイヤモンドSを制し、
サルサディオーネは20年から22年にかけて交流重賞を5勝するなど、近年も全国に名を馳せる馬を生産している。
ハヤテノフクノスケが
菊花賞でアッと言わせる走りを期待するとともに、東北の馬産に活気が戻ることを願うばかりだ。(競馬ライター)
スポーツ報知