樫の女王がさらに強くなってターフに帰ってくる。牝馬3冠最終戦「第29回
秋華賞」(13日、京都)の追い切りが9日、東西トレセンで行われた。2冠を狙う
チェルヴィニアはWコースでスピード感たっぷりの走り。栗東滞在で調子を崩した春とは一転、美浦でじっくり調整したことで“過去最高の出来”に仕上がった。同レースは10日に出走馬が確定、11日に枠順が決まる。
降りしきる雨。それを忘れさせるほどの滑らかな脚さばき。「実戦に近いイメージの調教で、折り合いだとかゴールに向かって頑張る意識を確認できた」。心技体かみ合った
チェルヴィニアの走りに、木村師も胸をなで下ろした。
最終リハは木村厩舎流の3頭併せ。
ティファニードンナ(4歳1勝クラス)を前に、
セブンマイスター(3歳1勝クラス)を後ろに置いた形でスタート。道中はゆったりしたラップでもリズムが崩れるそぶりはまるでない。直線では四肢を大きく動かして力みのない伸び。馬なりで5F(1000メートル)67秒8〜1F(200メートル)11秒7をマークし、余力十分に併入した。
「トラブルなく順調に来られている」。敏腕トレーナーのこの何げないひと言に状態の良さが表れている。牝馬1冠目の
桜花賞は直前の長距離輸送を避けた栗東滞在調整もまさかの13着大敗。「(馬が)環境の変化に戸惑った。そういった中で、どういう尺度で調教メニューを組み立てていくべきか。考えることがものすごく苦しかった」
栗東滞在の“乱れ”は牝馬2冠目、
オークスにも余波があった。「全ての運を引き寄せて」(木村師)勝利を手にしたものの、ダメージを気にしての調整が続き状態は八分。師は「私個人としていい仕事をできたかというとそうでなかった。彼女の持っている本来の健康状態を僕自身は導くことができなかった」と猛省している。
春の経験を生かして、今回は長距離輸送のリスクを顧みず美浦調整を選択。「今後も彼女のキャリアは続くし、この秋も可能であればファンの皆さまに数多く
チェルヴィニアの姿を見ていただきたい。なので、この期間を使ってボトムアップというか、彼女の本来持っている健康状態を底上げして基礎固めをしたい」。日々、
チェルヴィニアの体調に合わせた調教を積み重ねることで、確かな成長曲線を描けている。
「持って生まれた素養は凄い。フットワークの質は凄い高くて、見ててホレボレする馬」。数々の名馬を育ててきた木村師も絶賛の3歳牝馬。初の関西への直前輸送、初の内回り。数々の困難を乗り越えた先に、名牝への道が待っている。
<“直行組”強い>近年の
秋華賞は
トライアルを挟まない“直行組”が強い。近5年のうち4年の勝ち馬(19年
クロノジェネシス、20年
デアリングタクト、21年
アカイトリノムスメ、23年
リバティアイランド)は
オークスからの臨戦だ。今年の該当馬は
アドマイヤベル、
ステレンボッシュ、
チェルヴィニアのわずか3頭。
オークスを制した
チェルヴィニアの頭は濃厚か。
スポニチ