JRAは11日、騎手として重大な非行があったとして騎乗停止となり、引退届を提出した藤田菜七子騎手(27=美浦・根本)について、騎手免許の取消申請を受理したと発表した。引退の理由は「一身上の都合」。藤田を巡る一連の報道と処分について、詳細を説明した。
JRAは「藤田菜七子 騎手の引退」と題するお知らせを公表。「藤田菜七子騎手(美浦・
根本康広厩舎)から騎手免許の取消申請があり 2024年10月11日(金)付けで騎手免許を取消しましたのでお知らせします」と報告した。
藤田を巡っては、10日発売の週刊文春が藤田の通信機器不正使用を報道。
JRAは9日午後5時頃に本人と連絡を取り、通信機器の使用の有無を藤田に事情聴取をしたところ、他者との通信を認めた。本人に11日からの一時騎乗停止処分を伝えた際に、引退の意思を伝えられた。10日付で騎手免許取り消し願いを受け取った。
松窪隆一審判部長によると、当初の聴き取り調査では「他者との通信はしていない」と回答していたという。だがのちに、通信を行っていたことが発覚。松窪氏は「本当はそういうことがあった。虚偽の申告をしていたことが大きかった」と説明した。
連絡をとったのは「厩舎関係者」だといい、藤田は職員ではないと主張している。また本人は「(違反をした日)以降は開催日に調整ルーム居室内に携帯は持ち込んでいない」と話していたが、現時点で事案の数は調査できていない。松窪氏は「今後も状況に応じて必要な調査を続けていく」と述べた。
最初の聞き取り調査の際の厳重注意を公表しなかった理由について、松窪氏は「指導であり注意。施行規程上の処分ではない」と説明。「藤田騎手にかかわらず名前を公表することはない」とした。
師匠の
根本康広師は11日、美浦トレセンで報道陣に対応し、10日にトレセン内の根本厩舎で藤田が引退届を書いたと告白。師の万年筆で引退届を書き終えると、藤田は師匠の胸で慟哭(どうこく)した。師も声を上げて泣き、別れたという。
根本師は「(昨年5月の)若手騎手6人のスマホの件の時、菜七子は以前に、そういう通信機器を使っていたことを
JRAに自ら報告をしている。そして、その際に口頭で厳重注意を受けている。それが週刊誌の報道で、また処分を受ける形となってしまった。本人も納得がいかない部分があると思う」と説明した。
◇藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997(平9)年8月9日生まれ、茨城県出身の27歳。競馬とは関係ない家庭に育つ。16年3月、美浦・
根本康広厩舎からデビュー。同年4月10日の福島9R(
サニーデイズ)で初勝利。19年、G3カペラS(
コパノキッキング)を制し
JRA重賞初勝利、同時に
JRA女性騎手による
JRA平地重賞初勝利をマーク。
JRA通算3897戦166勝(重賞1勝)。1メートル57、45キロ。血液型A。
スポニチ