3歳牝馬の3冠ロード最終戦「第29回
秋華賞」が13日、京都競馬場で行われ、1番人気に支持された
チェルヴィニアが中団から力強く抜け出して快勝した。
オークスに続く、牝馬2冠を達成。鞍上の
クリストフ・ルメール(45)は18年
アーモンドアイ以来となる当レース3勝目、今年の
JRA・G1は
フェブラリーSから
スプリンターズSまで全て異なる騎手が勝利していたが、名手がこの流れを止めた。また、人気を分け合った
桜花賞馬
ステレンボッシュは3着に敗れた。
特殊な流れも名手のエスコートで難なく切り抜けた。鞍上・ルメールに導かれた
チェルヴィニアは持ったままの手応えで直線へ。残り200メートル、右ステッキで
ゴーサインを出すと一気に抜け出し、1馬身3/4差をつけて快勝した。半馬身差で頂点に立った
オークスから5カ月間で成長した姿をアピール。「
オークスを勝ってG1でリピートがしたかった。凄くいい競馬ができた」と強さに酔いしれた。
大方の予想通り、大外15番から
セキトバイーストが迷わずハナを主張。2番手を大きく引き離して向正面へ。ペースを緩めることなく刻んだラップは前半1000メートル通過57秒1。
チェルヴィニアは8番手でじっくり脚をためた。ハイペースの縦長の展開でも、馬上のルメールに焦りはない。「内回りなのでポジションを大事にした。好きなポジションを取れたし(道中は)自分のリズムで走れた」
京都在住のルメールにとって淀は庭同然のホームコース。競馬場が新装された23年以降に行われたG18レース中4レースを制した。仕掛けどころは熟知している。直線は手応え通りの末脚を発揮。「空いたスペースから凄くいい反応で伸びてくれてうれしかったね」とパートナーを称えた。
オークスから直行ローテでの勝利は18年以降の7回で6頭目。夏場は福島県のノーザン
ファーム天栄でリフレッシュし、一回り成長して帰って来た。この日は前走から8キロ増の490キロとデビュー以来、最高馬体重。木村師は「背が伸びたし(馬体の)肉付きが良くなっていました。春はいいコンディションに持っていくことができなかったし秋は健康体にすることを目的にしていた。いい状態で出走することができました」と安どの表情を浮かべる。
(夏を越えて成長/) 国内外でG16連勝を飾った木村厩舎の先輩
イクイノックスを連想させるほどの成長力。その主戦を務めたルメールは「レジェンドホースになることを期待している」とかつてのパートナーの面影をだぶらせ、木村師も「改めて凄い馬だなと。まだまだ可能性を秘めていると思います」とさらなる飛躍に期待を寄せた。
2冠をつかみ取り、同世代の牝馬に敵はいない。今後は年長馬との対戦が待っている。同馬を所有するサンデーレーシングの吉田俊介代表は「強い競馬をしてくれたし、さらに強くなれると思うので古馬に挑戦したい。
ジャパンC(11月24日、東京)に行きたい」と今後の展望を語った。
秋華賞Vから
ジャパンCに挑んだ12年
ジェンティルドンナ、18年
アーモンドアイは年長馬相手でもG1制覇。
チェルヴィニアもここから名牝への道を歩んでいく。
◆
チェルヴィニア 父
ハービンジャー 母チェッキーノ(母の
父キングカメハメハ)21年2月3日生まれ 牝3歳 美浦・
木村哲也厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績6戦4勝(重賞3勝目) 総獲得賞金3億2842万4000円。馬名は
マッターホルン山麓の集落の名。
《サンデーレーシング3連覇》サンデーレーシングは22年
スタニングローズ、23年
リバティアイランドに続いて3連覇を達成。通算5勝目で自身の馬主歴代最多勝利記録を更新した。吉田俊介代表は「ビックリするぐらい強かった。
桜花賞や
オークスに比べて、今回は時間も含めてしっかり調整できたし、さらに強くなった気がする。
ルメール騎手も“返し馬から凄かった”と言っていた」と2冠牝馬の成長曲線に驚いていた。
《ノーザン
ファームは4連覇》生産牧場のノーザン
ファームは21年
アカイトリノムスメから4連覇。通算13勝目となった。中島文彦ゼネラルマネジャーは「強かったです」とにっこり。
母チェッキーノは16年
オークス2着馬。23年
新潟記念を勝った半兄
ノッキングポイントに続く2頭目の産駒が
チェルヴィニアで、「改めて凄いお母さんですね」と感心しきりだった。1歳は
エピファネイアの牡馬、当歳は
エフフォーリアの牡馬を出産。現在は
イクイノックスの子を受胎中。
スポニチ