「
菊花賞・G1」(20日、京都)
今年の
菊花賞は50代のベテラン騎手が5人参戦。その中でも最も注目を集めているのが、約3年ぶりのG1騎乗となる現役最年長ジョッキーの
柴田善臣騎手(58)=美浦・フリー=だ。相棒の
ピースワンデュックとともに、今年のダービーを
ダノンデサイルで制した横山典の記録(56歳3カ月4日)を更新するJRA・G1最年長Vへ挑む。
21年
ジャパンC(
ムイトオブリガード16着)以来、約3年ぶりのG1騎乗に「もう忘れちゃったよ」と冗談交じりの笑顔を見せた現役最年長騎手の柴田善。ただ、さすがベテランだけあって久々の大舞台にも気負いは見られない。今回コンビを組むのは、デビューから手綱を握ってきた
ピースワンデュック。「どこで降ろされるかと思っていたけど、こうしてG1に乗せてもらえてうれしいし、ありがたい」と素直な気持ちを吐露した。
相棒は春の東京で未勝利-1勝クラスを連勝すると、夏の新潟で2勝クラスも一発クリア。1戦ごとに力をつけている上り馬だ。1週前追い切りに騎乗した主戦は「大味な走法だったけど、動きがシャープになって切れ味が出た。すごくいい感じだね」と、ここにきての成長を強調する。
今回は京都の長丁場が舞台。「スタミナは問題ない。あとはうまくコントロールして三千を走らせられるか」。騎手の腕が問われる長距離戦で、このコン
トールこそが難しい。「いくら上手な子が乗っても、緊張感が伝わると馬が折り合いを欠いて変な動きをしてしまう。それは距離が長くなれば長くなるほどそうなる」と説明。そして「変にいじらないこと。邪魔をしているのはジョッキーなんだからね」と持論を展開した。長年のキャリアによって培ったものだけに、説得力がある。
自身にとって菊の舞台は今回で10度目。97年には
ダイワオーシュウで2着に入った実績がある。「あの日はお昼過ぎのレースを
ダイワさんの馬(7R=
ダイワゴウシュウ)で勝って、オーナーにここではなくメインで勝たなくちゃ駄目だよって言われたね」と当時を懐かしそうに振り返った。
「長くやっているけど馬に乗っているのは楽しいし、レースも楽しい。ずっと続けたいね」とほほ笑んだのは、いつもと変わらない自然体の“
ヨシトミ”。この姿勢こそが長距離戦に重要な人馬一体を生む。大事なのは馬とのリズム。58歳のベテランには、それが分かっている。
提供:デイリースポーツ