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牝馬時代の扉を開けた一騎打ち 女帝エアグルーヴの天皇賞(秋)制覇

  • 2024年10月24日(木) 07時30分
 牝馬の時代と言われるようになって久しいが、その黎明期の中心的存在がエアグルーヴだ。牡馬の一線級と何度も好勝負を演じたが、とりわけ印象的だったのは97年の天皇賞(秋)。1番人気のバブルガムフェローとの一騎打ちを制し、牝馬としては17年ぶりの戴冠を成し遂げた。そんな一戦を改めて振り返りたい。

 エアグルーヴ父トニービン母ダイナカール、母の父ノーザンテーストの血統。父が88年の凱旋門賞馬なら、母は83年のオークス馬。良血揃いの社台ファームの中でも、とりわけ将来を嘱望される存在だった。その期待に応えて3歳時にオークスを制覇。4歳となってマーメイドS札幌記念と連勝し、迎えた一戦が天皇賞(秋)だった。

 単勝1.5倍の1番人気はバブルガムフェロー。前年の覇者であり、前走の毎日王冠を快勝。まさに文句なしの主役だった。そして2番人気が4.0倍のエアグルーヴ。3番人気は少し離れて9.6倍のジェニュインで、戦前は一騎打ちムードが漂っていた。

 レースはサイレンススズカの大逃げで幕を開ける。バブルガムフェローは3番手を手応え良く追走。その3馬身ほど後ろでエアグルーヴが脚をためた。勝負の直線、バブルガムフェローが抜け出そうとするが、その外から襲い掛かったのがエアグルーヴだ。2頭が後続を突き放し、完全な一騎打ち。最後はエアグルーヴ武豊騎手が、食い下がるバブルガムフェローと岡部幸雄騎手をクビ差抑えてゴール。80年のプリテイキャスト以来で17年ぶり、そして天皇賞(秋)が2000mになって以降では初となる牝馬Vを成し遂げたのだった。

 それまで、牝馬が牡馬相手にGIを勝つのは、マイル以下の短距離戦がほとんどだった。しかし、この一戦を機に中距離でも、牝馬が一線級の牡馬に挑む機運が高まっていく。00年代のスイープトウショウヘヴンリーロマンスウオッカダイワスカーレット、10年代のブエナビスタジェンティルドンナは、その代表格といえるだろう。意外に思われるかもしれないが、エアグルーヴのGI勝ちはオークス天皇賞(秋)の2つだけ。それでも新たな時代の幕開けを告げた功績は、末永く語り継がれていくに違いない。

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