春の敗戦をバネに1冠奪取!牡馬3冠最終戦「第85回
菊花賞」が20日、京都競馬場で行われた。2番人気
アーバンシックが
クリストフ・ルメール(45)に導かれ、中団から長く脚を使って2馬身半差の快勝。14年開業の
武井亮師(43)はG1初制覇となった。2着
ヘデントール、3着
アドマイヤテラと条件戦を勝ち上がった2頭が馬券圏内へ。休み明けのダービー馬
ダノンデサイルは後方から末脚を伸ばしたが6着。73年
タケホープ以来、51年ぶりのダービー&
菊花賞2冠制覇はならなかった。
また名手が魅せた。直線、
アーバンシックが抜け出すとスタンドの歓声を背にラストスパート。3000メートルを走り切り、2着へデン
トールに2馬身半差でゴールへ。文句なしの強さでラスト1冠をものにした。
秋華賞(
チェルヴィニア)から2週連続G1制覇のルメールは満面の笑み。「スタートで遅れるのは彼の走り方。1周目の後にポジションを上げられたのが良かった。途中で息が入って、ずっと冷静でいい感じでした。自信を持って乗れました」と相棒を称え、会心の勝利を振り返った。
この距離では異例とも言える出入りの激しい展開。序盤は
エコロヴァルツが逃げ、
メイショウタバルが道中で追い上げる。さらに内から
ピースワンデュックが抜き返してハナに。目まぐるしく前が入れ替わる中、直線入り口で
アドマイヤテラが抜け出したが4角3番手で前を射程圏に入れ、コンビ2戦目の名手の冷静なリードに完璧なパフォーマンスで応えた。
ルメール自身、
菊花賞は通算4勝目で昨年
ドゥレッツァを合わせ、史上4人目の連覇となった。「春のクラシックを走り抜いたタフな馬。パドックで馬を見て勝つ自信はあった。馬が凄く奇麗で静か。返し馬の後もずっと落ち着きがあってベストコンディションだった」。レース前に自信を深めていた。
開業11年目、
リエノテソーロでJpn1勝ち(16年
全日本2歳優駿)がある武井師はこれがG1初制覇となった。「G1で結果を出せていなかったので、勝ち切れたことが凄くうれしい」と喜びの声。追い切りは2週続けてWコースで好時計をマーク。初の関西遠征もクリアして仕上がりは申し分なかった。
皐月賞4着、ダービー11着。悔しい思いを胸に、この秋に臨んだ。秋初戦の
セントライト記念は鞍上の好騎乗もあり、他馬を圧倒。夏を越し、馬は着実に変化を遂げた。「メンタル面が成長した。まだ子供の面は残っているけど、パドックや返し馬、レースが終わった後の雰囲気は格段に大人になっている。それが本来持っている能力を引き出せる要因になっている」と成長を実感。春は出遅れ癖を含めて気性難が懸念材料だったが、精神面の進化で一気に頂点に上り詰めた。
今後は世代を超えた戦いに身を置く。「ひいき目もあるけど凄くいい馬。世代トップクラスと証明できたし、他の世代と戦っても負けないぐらいのポテンシャルはあると思う」と胸を張った。クラシック最終戦を制した関東のエースが今後も大舞台で躍動する。
アーバンシック 父
スワーヴリチャード 母エッジースタイル(母の父
ハービンジャー)21年3月16日生まれ 牡3歳 美浦・武井厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績7戦4勝(重賞2勝目)総獲得賞金3億5044万8000円。馬名の意味は洗練された(母名から連想)。
スポニチ